六行詩50番

原文

Vn peut 1 deuant ou 1' apres l'Aglenterre 2
Par mort de loup 3 , mise aussi 4 bas que terre,
Verra le feu resister contre l'eau 5 ,
Le r'alumant 6 auecques 7 telles force 8
Du sang humain, dessus l'humaine 9 escorce 10
Faite 11 de pain 12 , bondance 13 de cousteau 14 .

異文

(1) peut : peu 1600Mo 1611 1627 1644 1672
(1') deuant ou : de temps et 1600Au
(2) l'Aglenterre 1605sna : l'Angleterre 1600Au 1600Mo 1605snb 1611A 1627 1672, l'Augleterre 1611B
(3) de loup : du Loup 1600Au, de Loup 1600Mo 1627 1644 1672
(4) mise aussi : mis aussi 1600Mo, misse aussi 1627
(5) l'eau : leau 1627
(6) Le r'alumant : Se r'allumant 1600Au 1600Mo, Le r'halumant 1649Ca, Le rallumant 1672
(7) auecques : auec 1600Au 1600Mo, auecque 1627 1672
(8) telles force : telle force 1600Au 1600Mo 1611 1627 1644 1649Ca 1672
(9) l'humaine : la viue [?] 1600Au
(10) escorce : escorte 1611B 1627
(11) Faite : Feste [?] 1600Au, Faute 1600Mo 1672
(12) de pain : le pain 1627
(13) bondance : abondante 1600Mo
(14) cousteau : consteau 1649Ca

校訂

 1行目 peut は当然 peu の誤植。l'Aglenterre は l'Angleterre の誤植。
 6行目が前後で対比されているのだとすれば、Faite ではなく Faute の方が意味が通る。

日本語訳

少し前か後にイングランドは、
狼の死によって地べたと同じ低さに置かれ、
水に抵抗する火を見るだろう。
そんな力とともに再燃したものが、
人の血の中から人の表皮に。
パンは足りないが、刃物は豊富。

訳について

 6行目は Faute で訳したが、仮に Faite のまま訳すとすれば「パンで作られ、刃物は豊富」といった意味になる。

信奉者側の見解

 ノエル=レオン・モルガールの用語解説では、狼はイングランド人とされていた。

 テオフィル・ド・ガランシエールは具体的な事件とは結び付けておらず、イングランドにとっての過去の事件なのか未来の事件なのかさえ絞り込んでいなかった *1

 ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌは近未来に起こると想定していた第三次世界大戦において、共産主義諸国の侵攻でイギリスが蒙る惨状を描いたものとした *2

同時代的な視点

 「少し前か後」というのが偽作された1605年頃を基準にしたものだとすると、「狼の死」はそれとほぼ同じ頃に起こったことになる。イングランドに関わりのある死というと、最有力は女王エリザベス1世の死(1603年)およびそれにともなうテューダー朝の終焉ということになるだろう。ただし、それが正しいとしても、詩の情景とどう結びつくのかは今ひとつ不鮮明である。

その他

 1600Au では48番になっている。


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