【画像】第一部の扉(左)と第二部の扉(右)
正式名
第一部
- LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMUS,
- Dont il y en a trois cens qui n'ont jamais esté imprimées. Ajoustées de nouveau par ledit Autheur.
- A LYON.
- M. DC. LXXXXVIII.
- ミシェル・ノストラダムス師の予言集。
- 前述の著者によって新たに加えられた未刊の300篇を含む。
- リヨン。
- 1698年
第二部
- LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMUS.
- Centuries VIII. IX. X. Qui n'ont encore jamais esté imprimées.
- A LYON.
- M. DC. LXXXXVIII.
- ミシェル・ノストラダムス師の予言集。
- 未刊であった百詩篇第八・九・十巻。
- リヨン。
- 1698年
前年の
リヨン版とほぼ同じである。ただし、cents → cens, été → esté, Ajoûtées → Ajoustées, Auteur → Autheur など、1697年版で現代に近づいた綴りが、幾分古い綴りに逆戻りしている。また、ローマ数字での90の書き方が XC と LXXXX とで違っている。
内容
第12巻の末尾に「1665年版や1696年版よりも正確な最古級の諸版に全て従っている」(Le tout suivant les plus anciennes impressions plus correctes que celles de 1665 & 1696.)とある。
最後のページにはノストラダムスの墓碑銘が掲載されている。
コメント
そもそも、1696年版は現存しないので、巻末の「最古級の諸版」云々を額面通りに捉えることはできない。数字の順序を間違えたのだとしたら
1669年リヨン版などの誤りかもしれない。他方、隣接する数字との取り違えなのだとしたら
1697年リヨン版などの誤りなのかもしれない。
確かに、原文をいくらか比較する範囲では、
1665年リヨン版や
1697年リヨン版とは若干系統が異なるのは事実で、リヨン系でも、それらよりもさかのぼる版を参照した可能性は否定できない。
刊行者名が書かれていないが、かつて
アンリ・トルネ=シャヴィニーは1697年版と同じくジャン・ヴィレの出版としていた。たしかに字体なども似ているように見えなくもないが、前年に名前と住所を明記して出版した人物が、わざわざ匿名で出版する理由は不明である。
実際、上述の通り、ローマ数字の綴り方なども異なるし、原文の系統にも違いがあるとなれば、ヴィレとは別の業者を想定する方が妥当なようにも見えなくない。
前年の特認がヴィレ宛でなく、フランソワ・ルー未亡人宛になっていたことから、何か許認可上のトラブルがあって、仕方なくヴィレが匿名で再版したといったストーリーを仮定することは不可能でないが、根拠は全くない。
ミシェル・ショマラや
ロベール・ブナズラは、特に刊行者について推測はしていない。
所蔵先
- ブザンソン市立図書館、カーン市立図書館、ドゥーエ市立図書館、ナント市立図書館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、マザラン図書館、ポール・アルボー博物館、RAMKAT
- ヴェネツィア市立図書館、ジュネーヴBPU、ローザンヌ州立・大学図書館、ルガノ州立・大学(スイス)、ヌーシャテル州立・大学図書館、国立マルチアーナ図書館、大英図書館、ウェルカム医学史図書館、ウプサラ大学、スロヴァキア国立Matica Slovenska、ハーヴァード大学、テキサス大学
最終更新:2018年11月08日 12:57