原文
Du plus profond de l'occident
1 Anglois
2,
Ou
3 est le chef de l'isle
4 britannique
5:
Entrera
classe dans
6 Gyronde
7 par Blois,
Par vin
8 & sel
9, feuz
10 cachés aux barriques.
異文
(1) l'occident : l'Occident 1588-89 1597 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1668P 1716 1840
(2) Anglois : anglois 1660
(3) Ou 1557U 1557B 1568A 1588Rf 1588Rg 1589PV 1590Ro 1649Xa 1649Ca 1668A : Où T.A.Eds.
(4) l'isle : l'Isle 1600 1611 1627 1628 1649Xa 1660 1668P 1672, Lisle 1589Rg
(5) britannique 1557U 1557B 1589PV 1660 1668 : Britannique T.A.Eds.
(6) dans : dans la 1665, en 1672
(7) Gyronde : Gyrande 1557B 1589PV, Gyron de 1588-89, Gyronne 1600 1610 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1840, Garonne 1672
(8) vin : Vin 1672
(9) & sel : & se 1589PV, & 1649Ca, & tel 1600 1610 1716, & sei 1588Rf 1589Me, & Sel 1672
(10) feuz 1557U 1557B 1568A 1589PV 1590Ro : feux T.A.Eds. (sauf : souz 1588-89, ceux 1600 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1867LP, saux 1672)
校訂
2行目の Ou は当然 Où の方が良い。
ジャン=ポール・クレベールは1行目と3行目の語末が Anglais / Blais (Blaye) の可能性に触れた。
日本語訳
イングランド西方の最奥部から
― そこはブリテン島の指導者のいる場所 ―
艦隊が
ブロワを経由しジロンド川に入るだろう。
ワインと塩の代わりに火器が大樽に隠される。
訳について
前半は「ブリテン島の指導者のいるイングランド西方の最奥部から」とすべきだが、各行に対応させる必要上、2行目を挿入的に訳した。
大乗訳前半「英国の最西部から/英国諸島の首長のいるところに」は、2行目冒頭の関係詞 Où の処理が不適切。また、この場合の島は単数形である。
同4行目「ぶどう酒と塩や火で樽にかくれるだろう」は、ワイン、塩、火が並列なら & の位置が不自然で、前半律の切れ目とも対応していない。また、受動態の処理の仕方も微妙である。
山根訳の前半「イギリス西部の奥底から/イギリス諸島の首領がいるところ」も大乗訳同様、関係詞の処理が不適切である。
同4行目「ワインと塩により 大樽に隠された火」は直訳としては正しい。ただし、中期フランス語では feu に「兵器」(engin militaire)の意味もあり、文脈からはそれが適切だろうと思われる。
信奉者側の見解
その後、
ロルフ・ボズウェルと
アンドレ・ラモンが1940年代に相次いで解釈するまで、解釈は途絶えていたようである。
ボズウェルは第一次大戦中のマルヌの戦い(1918年)と解釈した。
ラモンは近未来にイギリス軍がフランスに侵攻すると解釈した。
ヘンリー・C・ロバーツは英国艦隊がフランスで機雷を敷設すると解釈したが、時期は明記していなかった。
日本語版では、英国艦隊がフランスで水やビールを奪うという解釈をしたことになっているが、原文と大きく食い違っている。
同時代的な視点
ピエール・ブランダムールはノストラダムスの複数の書き物をもとに、彼がイギリスをヨーロッパの西端と認識していたことを指摘していた。この場合も、イングランドからさらに西の果てへということではないのだろう。
- アメリカ独立戦争、ナポレオン戦争(トラファルガー海戦)などで活躍したイギリス海軍提督、ネルソン -- とある信奉者 (2010-12-25 21:18:16)
最終更新:2010年12月25日 21:18