原文
La republicque1 de la grande cité2
A grand rigeur3 ne voudra4 consentir:
Roy sortir hors par trompete cité5
L'eschele6 au mur7, la cité8 repentir.
異文
(1) republicque : Republique 1627 1672
(2) la grande cité : la grande Cité 1589PV 1649Ca 1650Le 1668 1672
(3) rigeur 1555 1840 : rigueur T.A.Eds. (sauf : riguenr 1611B, riguer 1627)
(4) voudra : vourda 1590Ro
(5) trompete cité : Trompette Cité 1672
(6) L'eschele : L'Eschelle 1672
(7) mur : Mur 1672
(8) la cité : la Cité 1589PV 1672
日本語訳
大都市の共和政体は
大変な強情さで同意したがらないだろう、
王が
喇叭手 〔らっぱしゅ〕 を通じて外に出るよう命じたことに。
壁に梯子、都市は後悔する。
訳について
2、3行目は後述するようにいくつかの読み方があるが、ここでは
ピエール・ブランダムールの釈義、およびそれを踏まえた
高田勇・
伊藤進の読み方に基づいた。ブランダムールは3行目の trompette を喇叭手から転じて「伝令使」と理解した。文脈からすれば十分に説得的だが、とりあえず訳では「喇叭手」にとどめた。
大乗訳2行目「きびしくおこなわれ 容認されることはなく」は不適切。元になったはずの
ヘンリー・C・ロバーツの英訳でも、後半は Shall not consent と普通に能動態で訳されており、なぜ受動態になったのか不明。
同3行目「王は都市のトランペットで呼びだされてでていき」は、言葉の補いようによっては成立する訳。
山根訳2行目「過酷な弾圧に屈しないだろう」は、A grand rig(u)eur を副詞的に理解するのか、consentir の目的語と理解するのかの違い。ブランダムールらが前者で取ったため、当「大事典」もそれに従っているが、
ジャン=ポール・クレベールのように、後者の意味に取る論者も存在している。
同3行目「国王はらっぱに喚ばれ市から逐われ」も、3行目だけを切り離した訳としては十分に可能な訳。ブランダムールの読み方は3行目の cité を être cité de (~の命令を受ける)と関連する用法と理解したものである。
信奉者側の見解
2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利すると、3行目の「喇叭兵」(トロンペット)をトランプと結びつける解釈が見られるようになった。日本ではネットメディアのTOCANAがこれを(おそらく最初に)紹介した。
同時代的な視点
市壁に梯子が掛けられるのは攻囲戦の描写だが、従来特定のモデルは提示されてこなかった。
ピーター・ラメジャラーも2003年の段階では不明としていたが、2010年には、シャルル8世のイタリア遠征と関連付けた。
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最終更新:2011年01月20日 23:09