六行詩28番

六行詩集>28番*

原文

L'an mil six cens & neuf1 ou2 quatorziesme,
Le vieux3 Charon fera Pasques en Caresme4,
Six cens & six5, par escript le mettra
Le Medecin6, de tout cecy s'estonne,
A mesme7 temps assigné en personne
Mais pour certain l'vn d'eux8 comparoistra.

異文

(1) L'an mil six cens & neuf : L'an mil six cens dix 1600Au, L'an 1609. 1600Mo, L'An mil six cens & neuf 1672Ga
(2) ou : au 1600Au 1600Mo
(3) Le vieux : Les vieux 1627Ma 1627Di
(4) Caresme : Charesme 1605sna
(5) & six : & dix 1600Mo
(6) Medecin : medecin 1600Mo 1627Di
(7) A mesme : Au mesme 1600Au 1600Mo
(8) d'eux : deux 1600Au 1600Mo 1627Ma 1627Di 1628dR 1672Ga

日本語訳

千六百と九ないし十四の年、
老いたカロンは四旬節に復活祭を行うだろう。
六百と六、それを書きとめておくだろう。
医師はそのことにすっかり驚く。
同時に個人で召喚されるが
彼らのうち一人が確実に出頭するだろう。

訳について

 pour certain は中期フランス語で「確実に」の意味*1

信奉者側の見解

 ノエル=レオン・モルガールの用語解説では、医師はアンリ4世、老いたカロンは大元帥とされている*2

 テオフィル・ド・ガランシエールは、2行目はある有力者が四旬節の期間中に病気になり、肉を食べることを言ったものだろうとした(かつて四旬節中の肉食は禁じられていた)。
 それに驚いた医師も病気になり、彼ら二人のうち一人が死ぬことの描写としたが、具体的な事件とは結び付けなかった*3

同時代的な視点

 四旬節は復活祭に先立つ40日間のことなので、四旬節の期間に復活祭を行うというのは支離滅裂である。
 もっとも、この場合は、ガランシエールの解釈のように、肉食を禁じられていた四旬節と、それが解禁される復活祭を対比し、四旬節中に慣例を破って肉食を行う人物を描写したものだろう。
 ただし、それが大元帥(モンモランシー公?)の振る舞いに一致するかは、当「大事典」では未確認である。

その他

 1600Au では24番になっている。


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六行詩
最終更新:2019年12月28日 22:10

*1 DMF

*2 1600Mo

*3 Garencieres [1672]