六行詩36番

原文

L 1 grand rumeur 2 qui sera par la France,
Les impuissans voudront auoir puissance,
Langue emmiellée 3 & vrays 4 Cameleons,
De boutefeux 5 , allumeurs de Chandelles 6 ,
Pyes & geyes 7 , rapporteurs de nouuelles
Dont la morsure 8 semblera Scorpions 9 .

異文

(1) L : La 1600Mo 1611 1627 1644 1649Ca 1672
(2) rumeur : Rumene 1627 1644
(3) Langue emmiellée : Langues ammiellées 1600Mo
(4) vrays : vieils 1600Mo
(5) De boutefeux : Des boute-feux 1600Mo, De boute-feux 1611 1627 1644
(6) Chandelles : chandellles[sic.] 1600Mo, chandelles 1611 1627 1644 1649Ca 1672
(7) geyes : gais 1600Mo, geys 1611 1627 1644 1649Ca, Geais 1672
(8) morsure : naissance 1600Mo
(9) Scorpions : scorpions 1600Mo

校訂

 1行目冒頭の L はもちろん La の誤植。

日本語訳

大きな騒擾がフランス中であるだろう。
無力な者たちは力を持つことを望むだろう。
蜜を塗った舌と真のカメレオンたちは
火付け役たち、蝋燭を灯す者たちの中から。
知らせをもたらす者たちであるカササギたちとカケスたち、
その刺し傷はサソリのようだろう。

訳について

 3行目について。emmiellé は中期フランス語で「へつらいの、追従の」という意味があったので *1 、「蜜を塗った舌」は「甘言を弄する舌」とでも意訳してよいのかもしれない。
 4行目の De がどこまでかかっているのか不鮮明だが、ここでは次の行とは切り離して理解した。
 6行目について。scorpion は言うまでもなく「サソリ」のことだが、中期フランス語では「火器」(arme à feu)を意味する表現でもあった *2

信奉者側の見解

 テオフィル・ド・ガランシエール直前の詩とかかわりのある詩とした *3 。詳述していなかったが、ポン=ド=セの戦い(1620年)等と解釈したということだろう。

 匿名の解釈書『暴かれた未来』(1800年)では、フランス革命の予言とされていた *4 。この種の解釈はドドゥセによる1790年のパンフレットで既に登場していた。

 マックス・ド・フォンブリュヌ(未作成)は「火付け役」や「無力な者たちの統治」といった表現が登場していた1937年当時の新聞・雑誌記事を抜き出し、1937年頃の国際情勢を的中させているとした *5
 ロルフ・ボズウェルもフランス第三共和政の最後の十年間(つまり1930年代)についての予言と解釈した *6
 アンドレ・ラモンも、フランスの人民戦線内閣(1936年 - 1937年)と解釈した *7

同時代的な視点

 現代フランス語では「カメレオン」は変節漢を表す隠喩でもある。マリニー・ローズは、この場合、その意味にとってよいとしている *8
 となれば詩の内容は、何か大きな騒擾の中で現われる変節漢と、何らかの(火器による?)殺人ないし殺傷事件にかかわる伝令使を描いていることになるだろう。

その他

 1600Au では34番となっている(33番は欠番)。


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