百詩篇第6巻37番

原文

L’œuure 1 ancienne se paracheuera,
Du toict cherra sur le grand mal ruyne :
Innocent faict mort on accusera :
Nocent 2 caiché 3 , taillis à la 4 bruyne.

異文

(1) œuure : œure 1589Me, œuue 1611B, æuure 1627
(2) Nocent : Nocene 1672
(3) caiché 1557U 1557B 1568 1590Ro 1605 1772Ri : cache 1600 1610, caché T.A.Eds.
(4) à la : à là 1610, a 1672

日本語訳

古い作品が仕上がり、
大物の上へ屋根から不幸にも崩れたものが落ちるだろう。
致死的な事実で無実の者が告発されるだろうが、
罪ある者は隠される、霧雨の降る雑木林に。

訳について

 1行目について。ジャン=ポール・クレベールは、フランソワ・ラブレー(未作成)がachevé を ruiné(崩壊した、失墜した)の意味で使っている例があることをもとに、「古い作品はすっかり崩壊するだろう」と訳せると説明している *1

 3行目 faict mort は訳しづらい。ラメジャラーの英訳を参照して訳した。

信奉者側の見解

 ヴライク・イオネスクはJ. F. ケネディ暗殺の予言と解釈した *2 。イオネスクは4行目の「雑木林」を「伐採林」(そういう意味もある)と読み、綺麗に切り揃えられた林は横並び式の共産主義社会を表しているとし、「霧雨」は北風の国ロシアを暗示しているとする。つまり、彼によれば、3、4行目はオズワルドが犯人とされるが、真の黒幕はソ連であるという意味になる。ジョン・ホーグもケネディ暗殺と解釈している *3

 セルジュ・ユタンはフランス第三共和制の崩壊(1940年)と解釈している *4

 加治木義博は自分の『真説ノストラダムスの大予言』シリーズの素晴らしさをノストラダムスが評価してくれた詩と解釈している *5

同時代的な視点

 詩の意味は比較的明瞭である。古い建造物の再建工事が完了した後、その屋根からの崩落物によって重要人物が傷つくか死ぬかし、無実の人間が誤って起訴される一方、真犯人は逃げおおせる、という意味であろう *6 。ただし、特定の事件との結び付きを指摘している論者は見当たらない。

 ピエール・ブランダムール百詩篇第6巻51番に登場する「王」とこの詩の「大物」は同一人物ではないかと推測している *7


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