百詩篇第6巻11番

原文

Des 1 sept rameaulx 2 à trois seront reduictz 3
Les plus aisnés 4 seront surprins 5 par mort 6 :
Fratricider les deux seront seduictz,
Les coniurés 7 en dormans 8 seront mors.

異文

(1) Des : Les 1672
(2) rameaulx : Rameaux 1840
(3) reduictz : reduict 1627
(4) aisnés : ainsnez 1627
(5) surprins : surpins 1672
(6) mort : morts 1588-89 1605 1611B 1628 1660 1672
(7) coniurés : conjures 1672
(8) dormans : dormant 1557B 1588-89 1589PV 1590Ro 1594JF pp.220&228 1605 1628 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668 1672, dormaus 1653

日本語訳

七つの小枝が三つに減らされるだろう。
最も年上の者たちが死に襲われるだろう。
二人は兄弟殺しに魅惑されるだろう。
眠りに落ちた陰謀者たちは死ぬだろう。

訳について

 それぞれの行が独立しており、構文上も比較的平易な詩。
 山根訳は全く問題ない。
 大乗訳は、2行目「長兄は死で驚き」 *1 がまず微妙。Les plus aisnés は複数形なので、「長兄」と単数で訳すべきではない。
 同3行目「二つは彼の兄弟を殺害するといい」は誤訳。seront seduits (誘惑される、扇動される)が訳に反映されていない。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1574年5月にアンリ3世が即位したことと解釈した。1行目はアンリ2世の子供のうち、王位に就いたのが3人だったこと、2行目はフランソワ2世とシャルル9世が相次いで病没したこと、3行目はアンリ3世と弟のアランソン公の対立、4行目は1572年のサン=バルテルミーの虐殺でプロテスタントの指導者たちが殺されたことと、それぞれ解釈した。なお、シャヴィニーはノストラダムスが1560年向けの占筮で「大きな幹からいくつかの枝が伐られるだろう」(Du grand tronc plusieurs branches seront coupées)と予言していたこととも関連付けている *2

 テオフィル・ド・ガランシエールは、そのまま敷衍したような解釈しかつけていなかった *3

 アナトール・ル・ペルチエは、シャヴィニーの解釈と似ているが、「七つが三つに」は、アンリ2世の子供が最後の3人(アンリ3世、アランソン公フランソワ、マルグリット)になった時点でのこととし、4行目については1588年にギーズ兄弟が暗殺されたこととした *4
 この解釈は、チャールズ・ウォードジェイムズ・レイヴァーエリカ・チータムらが踏襲した *5ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌもほぼ同じで1574年から1575年のフランス王家と解釈した *6

同時代的な視点

 ルイ・シュロッセ(未作成)ピーター・ラメジャラーも、この詩が執筆された時点で全員生まれていたアンリ2世の7人の子供について、何らかの見通しを示したものであった可能性を認めている *7

 もっともエドガー・レオニが、ル・ペルチエの解釈に対して懐疑的な見方を示していたように、詩の情景は一般的に過ぎる。
 そして、フランス王家に7人の子供が生まれ、兄たちが相次いで死んだことで弟に王座がめぐってきたのは、何もこれが初めてではない。例えば、シャルル6世は三男四女をもうけたが、兄2人は十代で歿し、末弟シャルルが王位を継いだ。ジャンヌ・ダルクが支援したことで有名なシャルル7世である。
 後半の情景との結びつきが不鮮明であることから、それがモデルだと主張するつもりはないが、参考情報として付記しておく。


名前:
コメント: