『
今年から1585年までに起こるであろう最も記憶されるべき諸事件の予言集』は、1571年頃に
トロワ(未作成)の
クロード・ガルニエによって出版された
ノストラダムス2世の著書。現在確認されている範囲では、トロワで出版された最初のノストラダムス関連書である。
また、ノストラダムス2世の名前が「ミシェル・ド・ノストラダムス2世」と省略なしで扉に書かれていること、「師」(Maistre)という敬称がついていること、「医学博士」と名乗っていることは、いずれもこれが最初である。
正式名
- PREDICTIONS DES CHOSES PLVS MEMORABLES, QVI SONT A ADVENIR, DEPVIS CETTE presente Année, iusques à l'An mil cinq cens quatre vingt & cinq.
- Ou sont pronostiquées choses merueillenses & de grande consideration, suyuant la planette qui gouuerne chacune Annee,
- prinse tant des Eclipses du soleil & de la Lune, que du liure merueilleux de Cyprian Leouitie, Samuel Syderocrate, C. du Garnier Broussart & autres.
- Lesquelles ont esté en grande d'illigence mise en lumiere par M. Michel de Nostradamus le Ieune. Docteur en medecine.
- A TROYES.
- De l'Imprimerie de Claude Garnier dict Saupiquer.
- AVEC PRIVILEGE.
- 今年から1585年までに起こるであろう最も記憶されるべき諸事件の予言集
- そこでは、それぞれの年を支配する星に従い、驚異の事件や重大事件が占われている。
- 日蝕論・月蝕論から、同じくキュプリアヌス・レオウィティウス、サミュエル・シデオクラート、C. デュ・ガルニエ、ブルサール、その他の驚異の書から採録された。
- 医学博士ミシェル・ド・ノストラダムス2世師によって細心の注意で世に出された。
- トロワにて。
- クロード・ガルニエまたの名をソピケの印刷所による。
- 特認とともに。
題名にあるサミュエル・シデオクラートは、
ジャック・アルブロンのCATAFによると、ザムエル・アイゼンメンガー(Samuel Eisenmenger)というドイツ系の占星術師のフランス語名である。ガルニエ、ブルサールは未詳。
内容
八つ折版32ページの文献である。
実質的に『
20年間の予言集』の改題増補版といえる。
そちらにあったアランソン公宛の献辞は省かれているが、マグデブルク向けのメッセージは巻末に収録されている。
内容は1572年向けの予言から始まっているが、前記 『20年間の予言集』 の該当する年のものとほぼ同じである。違うのは1583年向けで、かなりの増補がなされている。そして、題名どおり、1584年と1585年向けの予言が追加されている。
レオウィティウスやアイゼンメンガーの名が挙げられているところからすると、『20年間の予言集』 自体が、『キュプリアヌス・レオウィティウスの日蝕論と重厚な暦書、おなじくサミュエル・シデオクラートの予言集から採録された、1564年から1607年までに起こるであろう最も記憶されるべき諸事件の予言集』に触発されたものだったのかもしれない。ただし、内容は独自に書き下ろされているようである。
所蔵先
刊行年
刊行年の表示はないが、1571年頃の刊行という点で
ミシェル・ショマラと
ロベール・ブナズラの見解は一致している。
ピエール・ブランダムールは1572年と推測した。
内容が1572年向けから始まっていることはどちらの推測の裏づけにもなるが、『
13年間の予兆集』(1571年)の中で存在がほのめかされているらしいことからすれば、1571年の方が妥当にも思える。
ただし、これが初版でなく、別人による初版を再版しただけなのだとしたら、それらの推定は意味をなさないだろう。
再版
最終更新:2011年05月01日 13:21