原文
La
1 dame
2 Grecque
3 de beauté
4 laydique5,
Heureuse faicte de
procs6 innumerable,
Hors
translatee7 au
regne8 Hispanique
9,
Captiue prinse mourir mort miserable.
異文
(1) La : LA 1627Di
(2) dame : Dame 1649Xa 1665Ba 1672Ga 1712Guy 1720To 1772Ri 1840
(3) Grecque : grecque 1572Cr
(4) beauté : beaute 1568X 1572Cr, Beauté 1672Ga
(5) laydique : Laidique 1572Cr, aydigue 1653AB 1665Ba 1697Vi, laïdique 1716PR, ay digne 1720To
(6) procs : proces 1605sn 1611B 1627Di 1628dR 1649Xa 1649Ca 1650Le 1981EB 1672Ga, porcs 1644Hu 1653AB, ports 1665Ba 1720To, procés 1712Guy 1716PR(b c)
(7) translatee : translate' 1665Ba, translaté 1653AB 1720To 1840
(8) au regne : proche au regne 1568X 1590Ro, en regne 1606PR 1607PR 1610Po 1627Ma 1627Di 1644Hu 1650Ri 1653AB 1665Ba 1716PR 1720To, au Regne 1672Ga 1712Guy
(9) Hispanique : hispanique 1568X 1590Ro, H spanique 1607PR
校訂
3行目は 1568X などの異文からすれば、proche au regne となっているべきなのかもしれない。
日本語訳
ラーイスの美しさを備えたギリシアの婦人は、
引きも切らない求婚者たちによって幸せに。
国外でイスパニアの王国近くに移され、
幽囚の身で死ぬ。惨めな死。
訳について
3行目は1568Xの異文を尊重して訳している。
ジャン=ポール・クレベールは3行目の hors (「外で」「~を除けば」)を mais (しかし)と同一視している。文脈からするとそのほうが分かりやすいかもしれない。
山根訳は問題ない。
大乗訳も大意としては誤っていないが、2行目の「数えきれない争いから幸せを得て」などは、
procsがどうして「争い」になるのか不明である。
信奉者側の見解
同時代的な視点
エピロス専制侯国の姫ヘレナは、多くの求婚者の中からシチリア王マンフレーディ(フリードリヒ2世の息子)と結婚した。
ヘレナは、夫に先立たれた後に、生まれ故郷のギリシアに戻ろうとしたが、その航海の途上で捕われ、スペイン(アラゴン)領だったナポリで投獄され、そのまま獄死した。
プレヴォは、以上のようなヘレナの生涯がモデルになっていると解釈した。
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最終更新:2020年03月20日 01:17