原文
Nouuelle
1 & pluie
2 subite impetueuse
3
Empeschera subit
4 deux
5 exercites6.
Pierre
7, ciel
8, feuz
9 faire la mer
10 pierreuse,
La mort
11 de sept terre
12 & marin
13 subites.
異文
(1) Nouuelle : Nouelle 1600
(2) & pluie : pluye 1589Me, Pluie 1672
(3) impetueuse : & impetueuse 1589Me
(4) subit : à subit 1600
(5) deux : d' eux 1611B 1660
(6) exercites : exercices 1600 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668
(7) Pierre : Pierrre 1627
(8) ciel : Ciel 1589PV 1672 1712Guy
(9) feuz 1555 1840 : feux T.A.Eds. (sauf : feu 1588-89, Feux 1672)
(10) mer : Mer 1672
(11) mort : mert 1600 1610 1716, mer 1627 1644 1650Ri 1653 1665
(12) terre : Terre 1672
(13) marin : matin 1600, Marin 1672
校訂
エヴリット・ブライラーは Nouvelle & pluie を Nivelle & pluie (霧と雨)と読み替えていた。
日本語訳
新しく烈しい突然の雨が、
二つの軍隊を不意に妨げるだろう。
石と空と火が石だらけの海を作り出す。
七人の死が海と陸とで突然に。
訳について
上の訳は校訂の結果を踏まえた。
3行目は直訳したが、空から「火と石」もしくは「火の石」(
ピエール・ブランダムールは雷と理解)が降ってくるということだろうから、そういう意訳も誤りとはいえないだろう。
4行目「七人」はブランダムールの読みに従ったものだが、原文からは単位が「人」とは断言できない。
既存の日本語訳について。
大乗訳はおおむね問題はないが、2行目「二つの軍隊が急にじゃまし」は不適切。動詞の活用形から、「二つの軍隊」を主語にとることは出来ない。
3行目「石 天 火は 海をたちまちにしてつくり」は、「たちまちにして」に該当する語がない一方、「海」を形容している pierreuse (石だらけの)が訳に反映されていない。
山根訳1行目「風聞(ニュース) 思いがけぬ豪雨が突然襲いかかり」は、標準的な Nouvelle & pluie となっている原文の訳としては別におかしくないが、後半は言葉を補いすぎに思える。Nouvelle を除くと雨を形容しているのは subite (突然)と impetueuse (烈しい)だけである。
同3行目「石と火が空から降って石の海を創るだろう」は前述の理由によって許容される意訳だろう。
信奉者側の見解
テオフィル・ド・ガランシエールは、ほとんどそのまま敷衍し、前半は2つの軍隊が突然の豪雨で戦いを中断することになる予言で、後半は驚異に関する描写とした。
バルタザール・ギノーも似たようなもので、二つの軍隊を妨げる豪雨や、空から降ってくる石などについての予言とした。
ヘンリー・C・ロバーツはノルマンディ上陸作戦と解釈した。これは後の改訂版でも堅持されたが、
日本語版の方では、核爆発の情景とする韮沢潤一郎の解釈が追記されている。
ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌは、20世紀末に起こると想定していた大戦で、ワルシャワ条約機構に加盟していた旧ソ連をはじめとする東側諸国7か国が没落する予言と解釈していた。
藤島啓章も1990年代に起こる東西の大戦における、東側7か国の敗戦と解釈していた。
同時代的な視点
ピーター・ラメジャラーはユリウス・オブセクエンスの記録との類似性を指摘した。オブセクエンスは紀元前186年、前102年、前94年、前91年などに石の雨が降ったと記録しており、特に前186年には天からの火と石の雨が降ったとある。
ラメジャラーはほかに、コンラドゥス・リュコステネスが記録している石のような大きな雹の話に触発された可能性を示していた。
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最終更新:2011年11月09日 22:40