Magnes

 Magnes詩百篇第4巻23番のみに登場する単語。
 直前のCalcineとともに、どちらも鉱物と解釈する説と、どちらも地名と解釈する説がある。

 Magnes は現代フランス語では俗語として faire des magnes (気取る)という言い回しがある。この場合の magnes は manières が変化したものだという*1
 ただ、これに関連する用法を採用する論者はいない。

 ラテン語の Magnes は古代ギリシアのマグネシア(複数存在した)に関連する語で、「マグネシアの」「マグネシア人(の)」を意味し、Magnes lapis とすればマグネシア産の鉱物を指した*2
 16世紀半ばのフランス語でもそれに由来する意味があり、pouldre de magnes とすれば、鉱物としての「マグネシア」(酸化マグネシウム)の意味になった*3

 どういう鉱物に対応させるかに多少の差はあれど、エドガー・レオニロジェ・プレヴォマリニー・ローズジャン=ポール・クレベールらはおおむねそれを採用している*4

 それに対し、ピエール・ブランダムールは鉱物ではなく地名としてのマグネシアと推測した*5
 ブリューノ・プテ=ジラールは支持している*6


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最終更新:2012年02月15日 22:15

*1 白水社『仏和大辞典』

*2 『羅和辞典』

*3 DMF

*4 Leoni [1961], Prévost [1999] p.73, Rose [2002c], Clébert [2003]

*5 Brind’Amour [1996]

*6 Petey-Girard [2003]