ミシェル・ノストラダムスの予言集 (ランドリオ)

 18世紀末頃にはリオンのランドリオが度々 『予言集』 の出版に携わった。そのうち初期のものは単独での出版だった。

正式名

 二部構成であり、それぞれの扉に記載されているのは以下の通りである*1

第一部
  • PROPHETIES DE MICHEL NOSTRADAMVS,
    • Dont il y en a trois cens qui n'ont iamais esté imprimees ;
    • Trouuees en vne Bibliotecque laissee par l'Autheur.
    • NOUVELLE EDITION,
    • D'après un Exemplaire trouvé dans la Bibliothèque du célèbre PASCAL.
    • AVEC LA VIE DE L'AUTEUR.
    • A RIOM,
    • DE L' IMPRIMERIE DE LANDRIOT.

  • ミシェル・ノストラダムスの予言集
    • 決して出版されなかった三百篇を含み、
    • 著者の残した蔵書の中から発見された版。
    • 新版
    • かの有名なパスカルの蔵書から発見された伝本による。
    • 著者の伝記とともに。
    • リオン、
    • ランドリオの印刷所による。

第二部
  • PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS,
    • DONT il y en a trois cens qui n'ont esté imprimees, où il se recognoist le passé et l'aduenir.
    • A RIOM,
    • DE L' IMPRIMERIE DE LANDRIOT.
  • ミシェル・ノストラダムスの予言集
    • 未刊であったもので、過去も未来も分かる三百篇を含む。
    • リオン、
    • ランドリオの印刷所による。

 第一部、第二部ともメインタイトルに冠詞がついていないことや、ノストラダムスに敬称が付いていないことが珍しい。そのことや第一部の題名は、同じ時期に出ていたらしい新刊書籍の商人たち版とほぼ同じだが、どちらが先なのかは特定されていない。

 ただし、第二部の副題が1611年ごろのピエール・シュヴィヨ版とほぼ同じであることからすると、こちらの方が先なのかもしれない。新刊書籍の商人たち版は二部構成をとってはいるが、第二部の扉は第一部とほとんど同じ副題だからである。
 仮にランドリオが新刊書籍の商人たち版を盗用したのだとすれば、ランドリオは第二部の扉にシュヴィヨ版と一致する副題をつけるためだけに、わざわざ150年くらい前の版を参照したことになり、不自然である。逆の場合、古版本をもとに作成されたランドリオの版を盗用し、新刊書籍の商人たちが第二部の扉で手抜きをしたと考えても、さほど不自然ではない。

内容

 十二折版でノンブルのない16ページ分に288ページが続く文献である。

 扉のあとにノストラダムスの伝記、第一序文(セザールへの手紙)、百詩篇第1巻から第6巻ラテン語詩は含むが、補遺篇の百詩篇第6巻100番は含まない)、第7巻(補遺篇を含む48篇だが、73番以降の4篇は45番から48番と位置付けられている)、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第8巻(補遺篇6篇を含む)、第9巻第10巻101番を含む)、第11巻六行詩58篇と四行詩2篇で、四行詩は91番、92番とされているが、内容は従来の91番、97番と同じ)、第12巻(11篇)の順に収められている*2

所蔵先

  • バイヨンヌ市立図書館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、ジャック・プレヴェール図書館(シェルブール)、ポール・アルボー博物館
  • アントウェルペン市立図書館

刊行年

 刊行年が明記されていないので推測するほかはない。ロベール・ブナズラは1780年頃と推測し、ミシェル・ショマラは1800年頃と推測したが、いずれも根拠は示されていない。

 仮にランドリオがピエール・ランドリオなのだとしたら、1789年以降の刊行の可能性を考えるべきではないだろうか。

関連項目




名前:
コメント:
最終更新:2016年12月23日 21:08

*1 Benazra [1990] p.326

*2 以上の書誌情報はLaroche [1999] p.44 による。