North

 North は「北」を意味する語。現代フランス語の nord と同じように、「北風」「北国(の人)」などの意味も含んでいるとされることもある。エドガー・レオニが未解決の固有名詞の可能性も仄めかしていたのを除けば、おおむね異論はない。

 単純に英語からの借用からとされることもしばしばで、マリニー・ローズのように実証寄りの論者にもそういう立場は見られる。
 ただし、もともとフランス語の nord の語源は英語の north であり、中世のフランス語では north がそのまま使われる例も見られたことや、(north でこそないものの) 17世紀になってさえも nord の綴りの揺れで nort が使われていたことを考えるなら*1、ノストラダムスが英語からの借用という意識でこの単語を使っていたのかはよく分からない。

登場箇所

 詩百篇集での用例は詩百篇第2巻17番のみである。

 だが、暦書の方でなら『1557年向けの大いなる新占筮』、『1562年向けの暦』、『1563年向けの暦』などにも見られる (いずれもフランス語の散文の中での用例)。
 なお、『1565年向けの暦』には nort の使用例が複数あることも指摘されている*2


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最終更新:2012年03月27日 22:54

*1 http://artflx.uchicago.edu/cgi-bin/dicos/pubdico1look.pl?strippedhw=nord

*2 暦書での使用例はいずれも Brind’Amour [1996] p.217, n.35 による。