此世は如何にして終わるか

 『 此世は如何にして終るか : 科学小説 』は、1923年に刊行されたカミーユ・フラマリオンの著書(著者名の表記はカミイユ・フラマリオン)。La Fin du Monde (1893)の翻訳で、高瀬毅 訳、改造社刊行。

内容

 目次は以下の通りである。
  • 第一篇 二十五世紀の推理
    • 第一 天空の脅威
    • 第二 彗星出現
    • 第三 火星からの光線電話
    • 第四 宇宙の終局如何
    • 第五 羅馬法王廳宗教會議
    • 第六 此世の終りに就いての信仰
    • 第七 衝突!
  • 第二篇 一千萬年後の世界
    • 第一 未來の變化
    • 第二 海底の大都會
    • 第三 人類進化の極致
    • 第四 空の空 夢の夢
    • 第五 オメガ
    • 第六 エヴ
    • 第七 地球最終日

 一見して明らかなように、二部構成となっている。目次からも大体察せられるように、第一篇は25世紀に巨大な彗星が地球に大接近し、大きな被害をもたらすというものである。第二篇は打って変わって、一千万年後の衰亡しつつある地球において、生殖能力を失った人類の最後の生き残りにあたる男女オメガとエヴのラブストーリーである。

ノストラダムス関連

 第一篇の第六「此世の終りに就いての信仰」は古今の終末思想を概観したものであり、近世ヨーロッパについてのくだりで、コンラドゥス・リュコステネス、キュプリアヌス・レオウィティウスなどとともに、ノストラダムスの名前がある。これは18世紀に創作されたらしい詩篇の紹介に過ぎないが(2038年参照)、日本でノストラダムスの予言を紹介した最初の例と見なされている。

 該当箇所を引用しておこう(一部略)。

 「有名な占者ノストラダムスも亦、占星予言者の群れの一人であつた。特に次の四行詩が最も有名で、これは数多の注釈の焦点となつたものだ。

 ヂョルジュが神を磔刑(はりつけ)にするとき
 マカが彼を復活(よみがえら)せるとき
 聖ヨハネが彼を運び来るとき
 此世の終りは来るであらう

 すなはち、この詩の意味は、パーク祭が四月二十五日(聖マカ祭)になる時、また聖金曜日(聖ジヨルヂ祭)が廿三日で、聖体祭が六月二十四日(聖ヨハネ祭)に当る時は世の終りだといふのである。(中略)しかし、この日が合するのは、過去及び未来に於いて、その例は少くない。すなはち、その年代を揚げてみるならば、一六六六年、一七三四年、一八八六年までが過去で、一九四三年、二〇三八年、二一九〇年が未来であるが、みな以上の条件にあてはまるのだ。然し過去に於いて一度もこの当日に衝突は起らなかった」 *1
 2038年には当「大事典」でフランス語原書から訳した2つの版の日本語訳を掲げてあるが、それらと見比べていただくと分かるように、この訳文はどちらとも微妙に食い違っている。

 この本にあるノストラダムスへの言及について、おそらく最初に指摘したのは横田順彌である。横田は『SFマガジン』1974年10月臨時増刊の特集「世界は破滅する!」に、「特別版日本SFこてん古典 破滅がいっぱい」を寄稿し *2 、明治から昭和戦前の様々な終末や破滅を題材にしたSFを紹介する中でこれにも触れた。
 そして、内容の要約をした際に「物語中に引用されている、人類の歴史開始から現代までの各時代の終末観、終末予言はたいへんに興味深く、その中には例のノストラダムスの大予言の解説もされている。確証はないがノストラダムス紹介の最初のものかも知れない」 *3 と述べた。

書誌

書名
此世は如何にして終るか : 科学小説
著者
カミイユ・フラマリオン
訳者
高瀬毅
版元
改造社
出版日
1923年4月
注記
日本におけるノストラダムス予言への最初の言及か。

外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)

Titre
Konoyo wa ikanishite owaruka : kagaku shousetsu (trad./ Comment ce monde finit ? : un roman scientifique.)
Auteur
Camille FLAMMARION
Traducteur
TAKASE Tsuyoshi
Publication
Kaizôsha
Lieu
Tokyo
Date
avril 1923
Note
Traduction en japonais d' un livre de C. Flammarion, La Fin du Monde, 1893


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