Au chef Anglois1 à Nymes2 trop seiour,
Deuers l'Espaigne3 au secours4Aenobarbe5:
Plusieurs mourront par6 Mars7 ouuert ce iour8,
Quant9 en Artoys10 faillir estoille en barbe11.
1行目、2行目は省略されている語をどう取るかなどによっていくつかの訳がありうる。当「大事典」ではピエール・ブランダムールの読み方に従った(*1)。
ピーター・ラメジャラーは2行目について「(イングランドの指導者が)アヘノバルブスを救いにスペインの方へ」と読んでいる。au secours の直後に de が略されていると見る分には、可能な訳ではある。リチャード・シーバースの英訳もこちらに近い。
既存の訳についてコメントしておく。
大乗訳の構文の理解はおおむね問題はないが、2行目「赤い髪の男はスペインを助けにいき」(*2)の「髪」は(ガランシエール=ロバーツの英訳の直訳ではあるが)「鬚」の誤り。また、4行目「アートワーでひげのように星が落下するだろう」は en barbe の訳し方が不適切。それは星を形容しており、「鬚の星」(鬚を生やした星)の意味。