原文
Dans peu dira1 faulce2 brute, fragile,
De bas3 en hault4 esleué5 promptement6:
Puys en instant7 desloyale8 & labile9
Qui de Veronne aura gouuernement.
異文
(1) dira : ira 1672Ga
(2) faulce : fausse 1610Po 1665Ba
(3) De bas : Debat 1606PR 1607PR 1610Po 1627Di 1627Ma 1650Ri 1653AB 1665Ba 1716PR
(4) en haut : enhaut 1650Le 1668A
(5) esleué : esleue 1589PV, éleue 1627Di, essevé 1716PR(a c)
(6) promptement : prompement 1627Di
(7) instant : istant 1568C 1589PV 1590SJ 1591BR 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611A 1627Ma 1649Xa 1649Ca 1650Le 1667Wi 1668 1716PR, estant 1672Ga
(8) desloyale : desloyal 1672Ga
(9) labile : habile 1665Ba
(注記)1597Br は比較できず
日本語訳
まもなく野蛮で薄弱な偽善者について語られるだろう。
(彼は)低きから高きへ速やかに引き上げられる。
すると途端に不誠実で当てにならない者に。
その者は
ヴェローナの政権を握るだろう。
訳について
既存の訳についてコメントしておく。
大乗訳について。
1行目「しばしのあいだ 油断のならない獣が立ちあがり」は、dira が ira になっている底本の訳であることを考慮に入れても、省略されている単語がいくつもある。
3行目「忠実さなくも すみやかに」も、en instant の係り方がおかしい上に、labile が訳に反映されていない。
山根訳について。
1行目「まもなくあてにならない男の話が口にされよう」は、大乗訳同様、省略されている語が多い。この人物について1行目で形容されているのは「野蛮な」「偽善者の」「もろい(意志薄弱、誤りに陥りやすい)」の3つである。
同3行目「さっと駆けのぼり 短命の支配者となり 突如としてうつり気な裏切り者になる」は言葉を補いすぎで、いくらなんでも無理がある。
信奉者側の見解
同時代的な視点
ピーター・ラメジャラーは1226年から1259年までヴェローナを支配した暴君エッツェリーノ・ダ・ロマーノ (Ezzelino da Romano) がモデルではないかとした。
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最終更新:2018年06月23日 23:37