百詩篇断片・6番


原文

Feu, flame, faim, furt farouche fumée
Faira faillir froissant fort foy faulcher
Fils dedente 1 toute Provence humée
Chassé 2 de règne enraisgé 3 sans 4 chracher.

異文

(1) dedente : de dente (Ruzo)
(2) Chassé : Chasse (Ruzo)
(3) enraisgé : enrayge (Ruzo)
(4) sans : sang (Ruzo)

校訂

 dedente は、百詩篇第12巻4番に基づくならば、de denté と読むべきで、驚異譚としては、それが最も合理的な読みである。

日本語訳

火、炎、飢餓、掠奪、野獣、煙が
失敗させ、ひどく破壊させ、信用を刈り取らせるだろう。
歯を持って生まれた息子。プロヴァンス全域が食べ尽くされる。
王国を逐われ、血を吐いて怒らされる。

訳について

 百詩篇第12巻4番を参照のこと。

解説

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーが1594年に紹介した百詩篇第12巻4番とほとんど完全に一致する注目すべき詩篇。

 3行目の冒頭までの頭韻を f で揃えるという、百詩篇ではほかに見られない構成であることから、本物であるとしても、ノストラダムスが採用せずに放棄した草稿などだったのかもしれない。

 他方で、シャストゥイユの写本は17世紀半ば以降に作成されているため、偽作なのだとしたら、もっともらしさを演出するために紛れ込ませた可能性もある。

 なお、ダニエル・ルソは本物である傍証として、 f で始まる単語が13語使われていることと、ノストラダムスの遺言書で13が重視されていることを結びつけたが、それは強引過ぎるように思われる。


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