百詩篇断片・8番


原文

Du lieu non loin de fantastique secte
Ce qui sera acquis de loin labeur
Gaulle Braccata 1 par la 2 Belgique beste
Corps bien en proye du Larron et voleur 3 .

異文

(1) Braccata : braccasa (Ruzo)
(2) la : ta (Ruzo 1975)
(3) voleur : robeur (Ruzo)

校訂

 最後の単語は robeur の方が、押韻を考えれば適切である。ただし、中期フランス語の robeur は voleur と同じなので *1 、どちらが正しくても意味としては変わらない。

日本語訳

常軌を逸した宗派から遠くない場所の
長い労苦の末に手に入るであろうところのもの。
ガリア・ブラカタはベルギーの獣を介して
身柄も富も山賊や盗賊の餌食になる。

訳について

 fantastique は LAF では 「常軌を逸した」(insensé)、DMF では 「現実離れした」(capricieux) とある。あるいは、宗派と結びつく形容詞ということで言えば、fanatique (狂信的な)の誤りではないのだろうか。ただし、百詩篇集正篇ではどちらの単語も登場しない (fantasie ならば百詩篇第1巻96番(未作成)第2巻12番(未作成)に登場する)。

解説

 ガリア・ブラカタ (Gallia Bracata) は、ガリア・ナルボネンシス (Gallia Narbonensis) の別名である *2 。後半はベルギーの何者かが原因でナルボンヌ周辺が荒らされると読めるが、ベルギーとナルボンヌは地理的にかなり隔たっており、よく分からない。

 ピーター・ラメジャラーは不明としつつも、ひとつの可能性として、中世に弾圧された南フランスの異端派であるカタリ派の財宝に関する詩篇ではないかとした *3


名前:
コメント: