百詩篇断片・10番


原文

Unis en temple conseil spatieus 1
Toi et arc dessus et 2 misère et conflict
Plus apparens ornemens 3 précieux
Tous, tous, crime 4 de femmes...

異文

(1) spatieus : spatieux (Ruzo)
(2) Toi et arc dessus et : Toies. Arch. Dessus en (Ruzo)
(3) apparens ornemens : apparens. Ornemertts (Ruzo 1975), apparens. Ornements (Ruzo 1982)
(4) crime : le crisne (Ruzo 1975), les crisne (Ruzo 1982)

校訂

 2行目の toi et arc (汝と迫持、汝と弓) は toit et arc (屋根と迫持) ではないのだろうか。「迫持」(せりもち、アーチ状構造物) とともに、あるものの上に建てられ、飾り立てられるものとなれば、「汝」よりも 「屋根」 のほうが文脈に沿っているように思われる。
 ピーター・ラメジャラーはその部分を「彼らは矢を射るだろう」と英訳しているが、どういう校訂をしたのか、今ひとつよく分からない。

 4行目の異文 le(s) crisne は、現代語はもとより古語にも見当たらないので意味不明。女性名詞で「たてがみ」 を意味する crine なら LAF や DMF にあるが、冠詞の性・数と一致しない。

日本語訳

(人々は)広々とした神殿で勧告に寄り添う。
屋根も迫持 〔せりもち〕 も窮乏と衝突の上で
いっそう装飾が高価に見える。
万民よ、万民よ、婦人たちの罪は・・・。

訳について

 unir には「調和する」(harmoniser) などの意味もある *1 。spacieux (広々とした) は、単語の意味として conseil (勧告や会議の意味だが、議場の意味はない) よりも temple にかかっていると読むのが自然だろう。

解説

 ピーター・ラメジャラーはひとことも解説していない。

 2、3行目は争いが続いて庶民が困窮するのを尻目に、貴族たちはさらに豪奢な生活を送るというような描写に見えなくもないが、1行目と4行目が意味不明である。


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