Astrophile

 Astrophile(アストロフィル)は、ノストラダムスの『予言集』本編には登場しないが、晩年の『暦書』類において、ノストラダムスの肩書きとして登場する単語。
 「星」 を意味する接頭辞 astro- と 「~の友、~を愛する者」 を意味する接尾辞 -phile の合成で 「星を愛する者、愛星家」 の意味。

 古語辞典の類には見られないが、ノストラダムスよりも一足先に、ラブレーの『第四之書』(1552年)の第18章に登場している。ただし、そこでの用例は 「船長か水路頭」*1 の意味で使われているようである。
 当時は天測航法によって、船乗りと星の結びつきが強かったことによるものだろう。


【画像】 岩波文庫版 『第四之書』(渡辺一夫訳)


【画像】 ちくま文庫版 『第四の書』(宮下志朗訳)

 英国では宮廷詩人フィリップ・シドニーの詩集 『アストロフィルとステラ』(Astrophil and Stella, 1591年海賊版、1598年正規版) で同じ意味の astrophil が使われた。『アストロフェルとステラ』(Astrophel and Stella) とも表記される。
 現代の英和辞典には、astrophile および astrophil の意味として、「星の研究家、素人天文学者」を掲げているものがある*2


【画像】 Sir Philip Sidney's an Apology for Poetry/Astrophil and Stella: Texts and Contexts


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最終更新:2013年03月04日 20:38

*1 『ラブレー第四之書 パンタグリュエル物語』岩波文庫、p.400

*2 『新英和大辞典』第6版、研究社