crustamin

 crustamin詩百篇第3巻21番のみに登場する語で、いくつかの読みが示されている。


  • マリニー・ローズは、ウェルギリウスの『アエネイス』でも言及されている古代都市クルストゥメリウムのこととした。ピエール・ブランダムールも同じだが、彼はクルストゥミウムはその異称であるとしていた*3。クルストゥメリアないしクルストゥメリウムはリーウィウスの『ローマ建国史』でもその住民について言及されている古代都市であり、「ローマの北方五マイル。ウェイイー市に近く、塩の道およびティベリスの渡河地点を制する要衝」*4である。

 これについてはピーター・ラメジャラーのように両論併記の形をとる論者もいる。

 なお、五島勉はこの語について「甲殻類つまりエビ・カニ・サソリなどがとれる土地を意味する古語。中世の地理用語では紅海地方を指す*5と注記していたが、当然というべきか、そのような語義を載せた古語辞典は、調査の範囲では全く見付からない。
 そもそもサソリは甲殻類 (甲殻綱) ではなく蛛形綱である。


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最終更新:2013年06月05日 22:33

*1 Le Pelletier [1867b]

*2 Leoni [1961]

*3 Brind’Amour [1996]

*4 リーウィウス『ローマ建国史・上』岩波文庫の訳注(p.320)。

*5 五島『ノストラダムスの大予言』p.137