まる子 ノストラダムスの予言を気にするの巻

 「まる子 ノストラダムスの予言を気にするの巻」 は、さくらももこの漫画作品 『ちびまる子ちゃん』 のエピソードのひとつである。フィクションではあるが、五島勉の『ノストラダムスの大予言』(1973年) に端を発する最初のノストラダムス・ブームに直面した子供たちの反応を見事に描いた傑作とされている。

 少女漫画雑誌 『りぼん』 1990年11月号に掲載され、単行本 (りぼんマスコットコミックス) では第8巻 (pp.36-51) に 「その50 『まる子 ノストラダムスの予言を気にする』の巻」 という題で、文庫 (集英社文庫〈コミック版〉) では第5巻 (pp.26-41) に 「まる子 ノストラダムスの予言を気にするの巻」 という微妙に異なる表記で、それぞれ収録されている。
 アニメ 『ちびまる子ちゃん』(第一期) でこのエピソードは映像化されており、DVD 『ちびまる子ちゃん全集1991 「まる子達 一年生の世話をやく」の巻』 に併録されている。


【画像】 単行本版の第8巻


【画像】 文庫版の第5巻


【画像】 ちびまる子ちゃん全集1991 「まる子達 一年生の世話をやく」の巻

内容

 まる子はクラスメイトから、ノストラダムスという大昔の人物が、1999年に人類が滅亡するという予言を残したことを聞く。その時点では深刻に受け止めていなかったが、クラスメイトとの会話で知ったテレビの特番を見て、絶望的な気分になる。投げやりに開き直るクラスメイトを見て、自分もそれに倣おうとするが、姉のもっともな言葉に認識を改めることになる。

評価

 SF作家の山本弘はこの短編について、「七三年のノストラダムス・ブームが当時の子供たちに与えたトラウマが見事に表現された傑作」*1と評価し、オチにつながる姉の言葉を引き合いに出しつつ、「教科書なんかよりよっぽどためになる」 *2とも述べた。なお、姉の言葉 (というか姿勢) については科学解説家の志水一夫のエッセイでも引き合いに出されていた*3

 宗教学者の井上順孝も『若者と現代宗教』(1999年) において、「ノストラダムスの予言の話題が、当時の小学生に与えた影響がなかなかリアルに描かれている」*4として、ノストラダムス・ブームと若者の関係について論じた中で引き合いに出している。


【画像】 井上順孝 『若者と現代宗教』

派生

 「さくらももこのシリーズ絵本」の2として『ちびまる子ちゃん、ノストラダムスで大さわぎ』という絵本になった。

書誌

作品名
まる子 ノストラダムスの予言を気にする
著者
さくらももこ
版元
集英社
出版日
(単行本)1991年10月20日、(文庫)2004年2月23日
注記

外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)

Titre
Maruko, Nosutoradamusu no yogen wo kinisuru. (traduction / Maruko, elle se soucie des Prophéties de Nostradamus)
Auteur
SAKURA Momoko
Publication
Chibi Maruko-chan, Shûeisha
Lieu
Tokyo, Japon
Date
le 20 octobre 1991 (réimpr. le 23 février 2004)
Note
bande dessinée


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最終更新:2013年11月30日 10:23

*1 山本 (1998)[1999] p.346

*2 山本 (1998)[1999] p.348

*3 志水「年の瀬だから考えた1999年、第7の月・・・・・・」『アニメージュ』1992年12月号

*4 同書、p.61