フェニックス

 フェニックスは伝説上の鳥の名前である。ギリシア語のポイニクス (Phoînix) に由来し、ラテン語ではポエニクス (Phoenix)、英語でフィーニクス (Phoenix / Phenix)、フランス語でフェニックス (Phénix)、スペイン語でフェニックス (Fénix)、イタリア語でフェニーチェ (Fenice)と呼ばれる。日本ではフェニックスやフェニクスと表記され、不死鳥と意訳されることもある。

【画像】15世紀末のニュルンベルク年代記に描かれたフェニックス*1

伝説

 フェニックスに関しては、500年生きたあとに積み上げた薪の山に自ら身を投じて焼け死に、その中から蘇るという伝説が有名である。しかし、この伝説はポンポニウス・メラの『地誌』(西暦43年?)が初出であるとも言われており、それ以前には初出とされるヘロドトスも含め、フェニックスを金や赤の羽毛の特徴的な鳥とする伝承はあっても、不死や再生と結びつける言説は見られないという。
 本来のフェニックスについての起源は、エジプトの神鳥ベンヌとする説や、アジア原産の錦鶏鳥 (きんけいちょう、キジ科) とする説などがある*2

 現代では、むしろ後の時代に付与された「不死鳥」や「火の鳥」のイメージで語られることが圧倒的に多く、マンガ、アニメなどのサブカルチャー方面でも広く知られるモチーフとなっている。


【画像】 HG 1/144 ウイングガンダム・フェニーチェ

星座

 星座のフェニックスは、日本では中国の伝説上の神鳥にひきつけて「ほうおう (鳳凰) 座」 と訳されている。いわゆるトレミー星座には含まれておらず、17世紀初頭のヨハン・バイエルらによって設定された*3


【画像】 聖闘士聖衣神話EX フェニックス一輝(新生青銅聖衣)

錬金術

 錬金術においては、「賢者の石」の象徴とされることがあったという*4

ノストラダムス関連

 『予言集』では詩百篇第8巻27番で fenix という綴りで1回だけ登場するに過ぎない。六行詩集になら、25番48番53番に登場するが、六行詩集はほぼ間違いなく偽作であり、これらをノストラダムス本人の作とは見なせない。

 『オルス・アポロ』にもフェニックスは登場している*5。そこでは「長寿」「太陽」「洪水」 などの象徴として扱われている。これらのシンボルはオリジナルのホラポロ 『ヒエログリュピカ』 にも登場している。


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最終更新:2014年01月24日 09:38

*1 画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nuremberg_chronicles_-_Phoenix_(CIIIIv).jpg

*2 以上の記述は、松平俊久 [2005]『図説ヨーロッパ怪物文化誌事典』pp.186-190

*3 ほうおう座、科学技術振興機構

*4 松平、前掲書、p.189

*5 Rollet [1968] pp.62, 64