MMR マガジンミステリー調査班

 『MMR マガジンミステリー調査班』は、1990年代に『週刊少年マガジン』で不定期連載された石垣ゆうきの漫画作品。
 単行本(少年マガジンコミックス)全13巻。

 2014年4月にその続編に当たる単行本 『新世紀黙示録MMR Resurrection』 が刊行された。これは前年に刊行されていた電子書籍版 『MMR復活編(1)』 の内容を含んでいる。

【画像】 『新世紀黙示録MMR Resurrection』カバー

 また、2016年3月には『新生MMR迫りくる人類滅亡3大危機』が刊行された。

【画像】 『新生MMR迫りくる人類滅亡3大危機』カバー


概要

 「マガジンミステリー調査班」は『週刊少年マガジン』の編集者たちによって結成された超常現象調査のグループで、様々な取材によって驚くべき結論を (特に隊長のキバヤシが) 導き出すという構成になっている。

 第2巻のサブタイトルが 「ノストラダムス大予言の謎を解け!!」で、以降、(違うテーマを扱うこともしばしばであったが) 1999年の破局を回避すべく、ノストラダムス予言を解釈し、世界的陰謀をたくらむ 「レジデント・オブ・サン」 などと対峙する姿が描かれた。


【画像】 『MMR マガジンミステリー調査班』第12巻カバー。描かれているのはキバヤシとノストラダムス

評価

 MMRのモデルとなった編集者たちは、1994年に作家の酒見賢一と対談した際に、「読者アンケートの人気は、常にベスト3には入っています(笑)」*1とコメントしていた。

 同じ対談の中では
  • 「いや、笑えるようにも作っているつもりなんです(笑)」*2
  • 「ぼくらの中でも意見が一致しないときは、いちばん面白い説をとる形になりますね(笑)」*3
などとも述べており、あくまでもフィクション上のネタとして作っていることを、ざっくばらんに表明していた。

 SF作家の山本弘は、「この荒唐無稽さ、ハッタリのかまし方は最高である。マジな話、『MMR』こそ、九〇年代における五島勉の正統な後継者ではないかと思う」*4と絶賛していた。

 他方で、ふつうの漫画作品には
  • この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・出来事などとは一切関係ありません*5
と入ることが多い注意書きが、この作品では
  • この物語は事実をもとにしたフィクションです
という微妙な書き方になっていた。

 かつて大地震が1995年9月9日に起こるというデマが流れたときにも、この作品はそのデマを肯定的に取り上げたため、特に子どもたちに影響を与えた可能性が指摘されている*6

 なお、上記の注意書きは第5巻以降、
  • この物語は事実をもとにしたフィクションです。内容に関する問い合わせは、電話では一切受けつけておりません。ご了承ください
に変わっている。

 おそらくそれと関係があるであろうコメントは前記の対談にも出ており、
  • いえ、あれ(引用者注:富士山爆発)はちょっと脅かしすぎでした。小さい読者から地球の滅亡とか信じて泣きながら電話がかかってきたりもしますから、今後は少しは救いのある方向へ進むつもりでいます(笑)*7(赤字での強調は引用者)
とある。

 なお、上記の9月9日大地震騒動は、このコメントよりも明らかに後に起こっている

 大人から見れば、エンターテインメントとして割り切れる話も、比較的年齢の低い読者にとっては、差し迫った恐怖心を喚起したのかもしれない。

関連書籍

 関連書籍として、石垣ゆうき・マガジンミステリー調査班監修 『ノストラダムスの最終宣言!! 1999日本崩壊の地獄書』(講談社、1995年) が刊行された。

 さて、ノストラダムスが晩年を過ごしたサロン=ド=プロヴァンスでは、2003年にノストラダムスの生誕500周年を記念した展覧会 『危機の時代における予言』 が開催された。

 その公式ガイドブックはジャン=ポール・ラロッシュ(未作成)が編集し、ミシェル・ショマラらが寄稿、そしてサロン市長も祝辞を寄せている立派なものである。

 ところが、その表紙を飾った2枚の画像のうち一つが、『ノストラダムスの最終宣言!! 1999日本崩壊の地獄書』 のカバーイラストであった (下図参照)。

【画像】 Prophetiés pour temps de crise 表紙 (オリジナルはカラー)

外部リンク



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最終更新:2014年04月16日 23:15

*1 『IN POCKET』1994年1月号、p.16

*2 同誌、p.10

*3 同誌、p.16

*4 山本 (1998)[1999] p.341

*5 複数の少年マガジンコミックスより

*6 菊池聡『予言の心理学』pp.177-178

*7 同誌、p.18