ギヨーム・ド・ガダーニュへの献辞

 リヨンの有力者ギヨーム・ド・ガダーニュへの献辞は、『1558年向けの新たなる占筮』の冒頭に収録された。

原文

A TRESVERTVEVX, ET ILLVSTRE SEIGNEVR, LE SEIGNEVR GVILLAV-me de Gadagne, Seigneur de sainct victor, Baron de Lunel, Baillif de Mascon, Seneschal de Lyon, & Gentil-homme de la chambre du Roy,
M. Nostradamus desire salut & felicité.

MOnseigneur en recordation *1 du bon acueil que vostre excellence me feit dans vostre maison à Lyon, allant à la court, en tant grand & sumptueux *2 conuiue, accompagné d' vn nombre de graues personnages, tous d'honneur, de doctrine, de noblesse, & erudition, de mon reuenu annuel par vne recordation vous ay voulu consacrer ce petit exigu labeur. Il Vous plaira de le prendre en gré & si ie puis entendre que vostre seigneurie n'y prenne desplaisir, prendray peine vous consacrer oeuure qui ne sera d' vn an : mais sera digne de perpetuelle memoire en recordation de vostre bienfait. Il vous plaira donc seigneur prendre en gré cecy, qui n'est rien quant au respect *3 de V.S. *4 mais qui vous fera cognoistre l'obeissant seruice, que perpetuellement vous portera vostre humble & de tous voz seruiteurs, toute sa vie. De Salon ce premier iour de May 1557.

日本語訳

サン・ヴィクトルの領主、リュネルの男爵、マコンの代官、リヨンの地方裁判官にして国王の近侍たる、いとも気高く、高名なるギヨーム・ド・ガダーニュ閣下へ、
M. ノストラダムスが安寧と幸福をお祈りします。

 閣下、王宮に赴く途上だった私に、栄誉ある方々、学識ある方々、高貴なる方々、博識な方々など、多くの重鎮を含むとても偉大で豪華な参列者の方々とともに、閣下がご自宅でしてくださった歓待を憶えております。年ごとにそれが思い起こされるので、この小さなつまらない作品を閣下に捧げたいと思いました。閣下のお気に召してお納めいただければよいのですが、もしもご不快に思われるようでしたら、作品を閣下に捧げることを心苦しく思います。この作品は1年分でしかありませんが、閣下のご親切の思い出はいつまでも憶えておくべき価値があることでしょう。
 ですから閣下、どうかお気に召してこれをお納めくださいますように。これは閣下に比べれば何の価値もないものですが、閣下の従卒全ての中での賤しき者 (=私) が生涯を通じて絶えることなく閣下に捧げる従順な奉仕をお示しすることになるでしょう。
 サロンより、1557年5月1日。

コメント

 内容は短く、また比較的平凡な献呈文である。ガダーニュの肩書きの訳は暫定的なものだが、彼はリヨン周辺で有力な地位にあった人物であって、リヨンに館を構えていた (この館はリヨン旧市街に現存し、マリオネットなどの博物館になっている)。

 ノストラダムスは1555年7月に国王アンリ2世に呼び出されてパリに上京した際、7月下旬ごろまでにリヨンを通った。このときのことはリヨン商人ジャン・ゲローも記録しており、このガダーニュへの献辞は、その傍証としての意味を持つ。



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