百詩篇第12巻55番

原文

Tristes conseils, desloyaux, cauteleux 1 ,
Aduis meschant 2 . la loy 3 sera trahie.
Le peuple esmeu, farouche, querelleux:
Tant bourg 4 que ville 5 toute la paix haie 6 .

異文

(1) cauteleux : cautelenx 1605, caoteleux 1649Ca
(2) meschant : meschans 1611B 1627 1644 1650Ri 1653 1665
(3) loy 1594JF 1627 1644 1650Ri 1653 1672 : Loy T.A.Eds.
(4) bourg : Bourg 1627 1653 1665 1672
(5) ville : Ville 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1672
(6) haie: hahye 1627, haïe 1628 1649Xa 1668

日本語訳

陰惨で不正で奸悪な議会。
悪意を含んだ助言、法は裏切られるだろう。
動揺し、粗暴で、好戦的な人々。
都市と同様に町でも、平和そのものが憎まれる。

訳について

 1行目と3行目はそれぞれの後ろ2つの形容詞を独立したものと見るか、前の名詞に掛かると見るかで訳が変わるので、大乗訳は一概に誤りとはいえない。
 4行目。大乗訳「その場所はひどくきらわれる」 *1 は、ヘンリー・C・ロバーツの英訳 the place shall de hated *2 の直訳だが、これは明らかに、テオフィル・ド・ガランシエールの英訳 the peace shall be hated *3 の写し間違いだろう。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1588年5月のいわゆる「バリケードの日」(カトリック同盟を中心とするパリ市民が蜂起し、パリをバリケードで封鎖した)の予言と解釈した *4

 ジョン・ホーグは議会(conseil)をロシア語訳すれば「ソヴィエト」になることから、「法」は百詩篇第3巻95番に出てきた「モール人の法」(=信奉者の解釈では共産主義思想の意味)を表すとする。このことから、彼はソ連の悪政とその崩壊が予言されていたと見る *5

同時代的な視点

 宗教戦争期の対立を一般的に描いているようにも見えるが、詩の内容は一般的に過ぎてモデルの特定は難しい。

 エドガー・レオニが指摘するように、この詩のスタイルは百詩篇より予兆詩に近い *6 。このため、本物だったとしても、暦書用に書かれていた試作だった可能性がある。もちろん、他の第11巻、第12巻の詩と同様、シャヴィニーによる偽作の可能性も排除されるべきではない。

その他

 1627, 1644, 1650Ri, 1653, 1665などの各版では、第12巻60番となっている。


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