百詩篇第12巻59番

原文

L'accord & pache sera du tout rompu 1 :
Les amitiez pollues 2 par discorde 3 .
L'haine 4 enuieillie 5 , toute foy corrompue 6 ,
Et l'esperance 7 . Marseille 8 sans concorde.

異文

(1) rompu 1594JF : rompue 1611 1650Ri 1672, rompuë T.A.Eds.
(2) pollues : polluës 1627 1644 1649Ca 1650Le 1668
(3) discorde : discordes 1644 1650Ri 1653
(4) haine : aine 1627
(5) enuieillie : éveillie conj.(EL)
(6) corrompue 1594JF 1611 1650Ri 1672 : corrompuë T.A.Eds.
(7) l'esperance : l'Esperance 1644 1650Ri
(8) Marseille : Marseilles 1672

校訂

 エドガー・レオニは3行目 enuieillie を éveillie と校訂しているが、その必要はないように思う。なお、1605年版を参照したように述べているジョン・ホーグはこの部分を esueillie としているが *1 、1605年版にそのような異文は見当たらない。レオニの校訂から「逆算」するようにして古い綴りを捏造しただけであろう。

日本語訳

合意と和平は至るところで破棄されるだろう。
友情は不和により汚される。
根深い憎しみ、信仰そのものが堕落し、
そして希望も。調停なきマルセイユ。

訳について

 大乗訳4行目「希望は一致せずマルセーユに」 *2 は、どういう根拠で訳したものかよく分からない。ヘンリー・C・ロバーツの英訳では、And hope also, Marseilles without concord. *3 とほとんど逐語訳されている(これはテオフィル・ド・ガランシエールの英訳にそのまま従ったものである)。
 なお、4行目に「も」(also)にあたる語はないが、前の行の後半律からの連続で「堕落した」が略されていると見た場合、許容される意訳であると判断した。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは1575年、1577年、1585年のユグノー戦争の様子と解釈している *4 。ガランシエールも似たようなものだったらしく、直前の12巻56番の続きとだけ注記している *5 。ジョン・ホーグも宗教戦争の予言としている。

 川尻徹は四度にわたる中東戦争の予言と解釈したが、マルセイユがどう関わるのかについては説明していなかった *6

同時代的な視点

 レオニも16世紀の宗教戦争の情景だと見ているが、実際のところ、そう見て特に問題はないだろう。本物なのか偽造された事後予言なのかについては何とも言えない。

その他

詩番号は1644 1650Riでは61番になっている。


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