1987年――悪魔のシナリオ

 『1987年――悪魔のシナリオ』は1985年に光文社から刊行されたクルト・アルガイヤーの著書。原書は1982年に刊行された Die Grossen Prophezeiungen Des Nostradamus In Moderner Deutung (現代的解釈でのノストラダムスの大予言)、訳者は淡路誠(未作成)である。

題名

 カバー表紙には
  • 1987年――世界大戦を予告する
  • 悪魔のシナリオ
  • ノストラダムス大予言の新しい解釈
とある。
 奥付には
  • 1987年 世界大戦を予告する
  • 悪魔のシナリオ ノストラダムス大予言の新しい解釈
とある。
 訳者前書きの中では『1987年――悪魔のシナリオ』 とされている。当「大事典」では、便宜上、この訳者前書きに登場する題名を項目名としている。

構成

  • 序章 予言者ノストラダムス
  • 第一章 予言はすべて正しかった
  • 第二章 すべては二〇〇〇年ごろに
  • 第三章 第三次大戦の予告
  • 第四章 それから地球はよろめき始める
  • 第五章 紀元二〇〇〇年以後
  • 付章 ノストラダムスの予言表

 カバー表見返しの推薦文は漫画家みつはしちかこ。
 帯の惹句は 「西ヨーロッパ話題のベストセラー初公開!」「今までの『ノストラダムスの大予言』の解釈は間違いだった!」

 随所に、訳者の淡路による注釈として、五島勉の『ノストラダムスの大予言』に対する批判が展開されている。

コメント

 巻末に予言年表が付いているので、彼の解釈が何も当たらなかったことを容易に確認できる。日本語版の題名は、アルガイヤーが1987年に第三次世界大戦が起こると解釈していたことによるものだが、この邦題はかえって1987年以降に再版される芽を自ら摘み取ったように思われる。そのせいかどうか、公称発行部数は2万部にとどまった*1

 訳者の淡路は、四行詩の翻訳を散文的に訳す (四行に分けることに拘らず、文意を把握しやすいようにする) という試みを行なった。その適否はともかく、ひとつの試みとして面白いものではあったと思うが、後に続く論者はいなかったようである。

 なお、アルガイヤーのこの訳書を加治木義博が手ひどく批判することになる*2。アルガイヤーの解釈が信奉者側に限った中でも、それほど質の高いものではないということ自体には同意できるが、加治木の批判は筋違いである。
 加治木は単に誤訳が多いバージョンのセザールへの手紙から読み取ったと信じた解釈原則に照らして、アルガイヤーの解釈を批判しているに過ぎない。その解釈原則自体が、そもそも正しい原文から読み取れないのだから*3、そこから逸脱しているという理由で批判されたのでは、アルガイヤーもたまったものではないだろう。

書誌

書名
1987年――悪魔のシナリオ
副題
ノストラダムス大予言の新しい解釈
著者
クルト・アルガイヤー
訳者
淡路誠
版元
光文社
出版日
1985年10月31日
注記

外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)

Titre
1987 nen – Akuma no shinario (traduction / L'an 1987 – Scénario diabolique)
Sous-titre
Nosutoradamusu daiyogen no atarashii kaishaku (traduction / Les grandes Prophéties de Nostradamus nouvellement interprétées)
Auteur
Kurt ALLGEIER
Traducteur
AWAJI Makoto
Publication
Kôbunsha
Lieu
Tokyo, Japon
Date
le 31 octobre 1985
Note
Traduction en japonais du livre de Kurt Allgeier, Die Grossen Prophezeiungen Des Nostradamus In Moderner Deutung, 1982


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最終更新:2014年09月21日 21:06

*1 『SPA!』1991年3月20日号

*2 加治木『真説ノストラダムスの大予言』pp.96-100, 131-134, 147-149

*3 この点は姉妹サイトのコンテンツ加治木義博『真説ノストラダムスの大予言』シリーズへのツッコミも参照のこと。