イシュマエル

  イシュマエル (Ishmael) は、『旧約聖書』の「創世記」に登場する人物。当「大事典」では新共同訳聖書の表記を採るが、口語訳聖書や関根正雄訳では イシマエル と表記されている。フランス語ではイスマエル (Ismaël) である。

概要

 アブラハムとハガル(アブラハムの妻サラの侍女)の間に生まれた子供。「創世記」第16章にその誕生の経緯が描かれている。この背景としては「妻に子なき場合、妻は夫に側妻を与えねばならないが、生まれた子に対するすべての法的権利は妻が持つという」法習慣の存在が指摘されている *1
 ハガルは子供を身ごもったことで尊大になり、サラとの関係が悪化してアブラハムのもとから逃れた。そのハガルのもとに啓示が下る。

  • ヤハウエの使いがハガルに言った、「見よ、君は身ごもっている。君は男の子を生むだろう。その名をイシマエルと名づけるがよい。神(エール)が君の悩みをおききに(シャーマー)なったから。彼は野驢馬のような人になるだろう。その手はすべての人に敵し、すべての人の手は彼に敵する。そのすべての兄弟たちに対峙して彼は住むだろう」。(「創世記」第16章第11・12節) *2

 後の聖書理解では、イシュマエルはアラブ人の祖として理解された。
 実際、7世紀の成立とされる『偽メトディウス』では、「イシュマエルの子ら」という表現で、ヨーロッパに侵攻するイスラーム勢力を表現している。

ノストラダムス関連

 上記のように、『偽メトディウス』などを通じて「イシュマエルの子ら」(イシュマエルの末裔)がイスラーム信徒を指すというのは、16世紀にもよく知られていたものと思われる。

 ノストラダムスの『予言集』でイシュマエルそのものは百詩篇第9巻60番にのみ登場する。「イシュマエルの末裔」(Ismaëlites) という形での登場ならば、百詩篇第9巻43番百詩篇第10巻31番に見られる。いずれも死後の1568年版が現存最古の詩である。

 ベルナール・シュヴィニャールによると、少なくとも1559年向けまでの暦書の中には、イシュマエルやイシュマエルの末裔という表現は出てこないようである。


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