vapin は現代フランス語にはない単語。
DALF によれば、かつてジュネーヴで「チンピラ(の)、不良少年(の)」(voyou) と同じ意味で使われた方言だという。
エドガー・レオニが古フランス語で「悪党、ごろつき」の意味としていたのは、おそらくこれに基づくのだろう。
アナトール・ル・ペルチエはラテン語の vappa からとしていたが、「ごろつき」の意味に理解するのは同じであった。
マリニー・ローズは insipide (まずい、味気ない)の意味を持った古フランス語 gape から派生した gapin のことか、ラテン語 vapidum からとして「(ワインなどが空気に触れて)変質した」(éventé) という意味などではないかとした。
ピーター・ラメジャラーは rapineur (略奪者、横領者)の略としての rapin の誤記と判断して、greedy (貪欲な、欲深い)と英訳した。「ひどく飢えた」(ravening) という語を当てている
リチャード・シーバースは根拠を示していないが、おそらくラメジャラーの読みを踏襲したものだろう。
ラメジャラーのように誤植の可能性を考慮に入れる場合、4行目との韻を考えると、-apin, -opin で終わるだろうということは言える。たとえば、(可能性は低いだろうが)lapin (うさぎ)や popin (poupin, 丸顔の)なども一応挙げておく。
最終更新:2015年02月28日 10:51