ブランコス

 ブランコス (Branchos) は、ギリシア神話の登場人物で、アポロンから予言の能力を授けられた人物である。ラテン語ではブランクス (Branchus)。

概要

 ブランコスは「山中で家畜を追っているとき、アポロンに愛され、予言力を授けられた。彼はミレトスの入口に、アポロンに献ぜられた神殿と大勢の神官を持っていて、ディデュモイ神託所の神官職は彼の子孫によって継がれた」*1

 ミレトスの南方17kmのところにあったディデュマは、アポロン信仰の一大中心地であり、かつては古代ギリシア世界最大といわれるアポロン神殿を持ち、競技の祭典ディデュマイアを毎年挙行していたという。伝説上のブランコスの子孫(ブランキダイ)による神職の継承は紀元前5世紀には途絶え、ミレトス市の所轄となった。ディデュマの神託は、その後もデルポイと並ぶ知名度を誇ったという*2

 ブランコスの神殿の巫女の予言は、古代のイアンブリコスも言及しており、16世紀にはコルネリウス・アグリッパの著書でも言及されていた*3

ノストラダムス関連

 詩百篇第1巻2番に登場する BRANCHES はブランコスのフランス語化と見なすことが定説化している。


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最終更新:2015年06月20日 23:43

*1 高田・伊藤 [1999] p.12

*2 呉茂一『ギリシア神話・上』新潮文庫、p.138

*3 高田・伊藤 [1999] pp.12-13