リュキア

 リュキア(Lycia, Lykia)は小アジア南西部の半島状に突き出た部分を指す古い地名。紀元前14世紀から13世紀頃のリュキア人は、ヒッタイト人とギリシア人の両勢力圏に挟まれていたことが、当時の楔形文字の記録から分かる。紀元前8世紀には都市連合体としてのリュキア同盟が成立し、アケメネス朝ペルシアに屈した後も自治は認められていた。西暦43年にはローマ領となった。北部はタウロス山脈に連なる山岳地帯だが、クサントス川流域はかつて肥沃で、パタラ、ミュラなどの通商上の重要港の発展を促した*1

 『新約聖書』では、パウロがローマに移送される際の寄港地ミュラが所在する地名として言及されている(『使徒言行録』27章5節)。また、リュキアへの直接的言及ではないが、第3回伝道旅行の帰途の通過点の一つとしてパタラへの言及がある(『使徒言行録』21章1節)*2。日本語訳聖書では、岩波委員会訳や田川建三訳のように「リュキア」と表記しているものもあるが、新共同訳・フランシスコ会訳では「リキア」、口語訳・新改訳では「ルキヤ」と表記されている。


【画像】岩波書店新約聖書翻訳委員会 『新約聖書2 ルカ文書 - ルカによる福音書・使徒行伝』

ノストラダムス関連

 ノストラダムスの『予言集』での登場箇所は詩百篇第3巻60番のみで、ミュシアパンピュリアとひとまとめになっている。

 暦書の方では、リュデア、パンピュリアとともに登場している箇所がある(詩百篇第3巻60番の解説参照)。


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最終更新:2015年12月16日 02:27

*1 以上は『ブリタニカ国際大百科事典・小項目電子辞書版』、『新共同訳 聖書辞典』キリスト新聞社、田川建三『新約聖書 訳と註・第二巻下』p.564による。

*2 『新聖書辞典』いのちのことば社