soucq は
詩百篇第10巻36番にのみ登場する語だが、古語辞典も含め、直接的には辞典類に見られない単語である。標準的なフランス語式に読めば、「ス(ー)ク」と読むはずである。意味については以下の可能性が指摘されている。
- テオフィル・ド・ガランシエールは sud (南) と読み替えた。しかし、これはヘンリー・C・ロバーツのような例外を除けば、支持されていない。
- アナトール・ル・ペルチエはロマン語の souque からとし、現代語の souche と同一視した。エドガー・レオニは何の注記もせずに原文そのものを souche と修正している。souche は「切り株」の意味だが、転じて「先祖」の意味にもなる。ジャン=ポール・クレベールはその「先祖」の意味に理解している。
- ル・ペルチエの語註を不正確と断ずるマリニー・ローズは、アラビア語のスーク (sūq, 市場) からとした。ローズが指摘するように、現代フランス語だとこれは souk と綴る(大きな辞典だけでなく、『プチ・ロワイヤル仏和辞典』などにも載っている)。ローズはさらにそこから、アルジェリアの都市スーカラス (Souk-Ahras, スーク・アフラース) を指しているのではないかとした。
- ローズはもう一つ、フランス国内にラ・スーク (La Souque) という自治体が2箇所あることを指摘した。
- 当「大事典」でも可能性を付け加えておく。16世紀当時、o と ou が交換可能であったことを考えれば、socq が正しい綴りの可能性がある。その場合、soc (犂奉仕による土地保有身分 : 中世イギリスで法的に領主のみに帰属する土地所有農民の身分)、socque (木靴、〔喜劇役者の〕短靴、喜劇)などの綴りの揺れとして、それらの意味を導ける可能性が出てくる。なお、木靴の意味の soc なら、DALFにも載っている。
最終更新:2016年06月15日 23:27