原文
L'accord &
pache1 sera du tout rompu
2:
Les amitiez pollues
3 par discorde
4.
L'haine
5 enuieillie6, toute foy corrompue
7,
Et l'esperance
8. Marseille
9 sans concorde.
異文
(1)pache : pâche 1689PA 1689Ma
(2) rompu 1594JF : rompue 1611 1650Ri 1672Ga, rompuë T.A.Eds.
(3) pollues : polluës 1627Ma 1627Di 1644Hu 1649Ca 1650Le 1667Wi 1668 1689Ma 1689Be 1691AB
(4) discorde : discordes 1627Ma 1644Hu 1650Ri 1653AB 1780MN
(5) L’haine : L’aine 1627Di
(6) enuieillie : euvieille 1672Ga, en vieille 1780MN
(7) corrompue 1594JF 1611 1650Ri 1672Ga : corrompuë T.A.Eds.
(8) l'esperance : l'Esperance 1627Ma 1644Hu 1650Ri
(9) Marseille : Marseilles 1672Ga
校訂
エドガー・レオニは3行目 enuieillie を éveillie と校訂しているが、haine enviellieは辞書にも載っている古い言い回しなので、その必要はないと思われる。なお、1605snを参照したように述べている
ジョン・ホーグはこの部分を esueillie としているが、1605snにそのような異文は見当たらない。レオニの校訂から「逆算」するようにして古い綴りを捏造しただけであろう。
日本語訳
合意と約定は全面的に破棄されるだろう。
友情は不和により汚される。
憎しみは根深く、信頼そのものが損なわれ、
そして希望も(損なわれる)。和解なきマルセイユ。
訳について
3・4行目は、パンドラの箱の神話のように、「信頼そのものが損なわれる。そして希望が(最後に残る)」のように読めなくもないが、その後ろのマルセイユの描写もネガティヴなものなので、その読み方は採らなかった。
既存の訳についてコメントしておく。
大乗訳について。
4行目「希望は一致せずマルセーユに」は、どういう根拠で訳したものかよく分からない。
ヘンリー・C・ロバーツの英訳では、And hope also, Marseilles without concord.とほとんど逐語訳されている(これは
テオフィル・ド・ガランシエールの英訳にそのまま従ったものである)。
信奉者側の見解
川尻徹(1987年)は、四度にわたる中東戦争の予言と解釈したが、マルセイユがどう関わるのかについては説明していなかった。
同時代的な視点
エドガー・レオニは信奉者たちと同様に、16世紀の宗教戦争の情景だと見ており、実際のところ、描写はかなりの程度あてはまる。
ただし、かなり漠然としており、ノストラダムスの晩年(ユグノー戦争序盤)に描くことも、そう難しいことではなかったと考えられるので、本物なのか、死後に偽造された事後予言なのかについては何とも言えない。
その他
この詩の番号は、1644Hu 1650Riでは61番になっている。
1672Gaでは52, 55, 56, 59, 62番が、なぜか4, 5, 6, 7, 8番という、不適切な通し番号が振られている。これは1685年版でも直っていない。
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最終更新:2018年11月17日 00:15