詩百篇第10巻


 ミシェル・ノストラダムス師の予言集詩百篇第10巻百詩篇第10巻)は、100篇の四行詩で構成されている。
 ほかに17世紀に発表された補遺篇がいくらか存在する。ただし、補遺篇はほぼ間違いなく偽作であろう。

 正篇の100篇は死後版である予言集1568年完全版に収録されていた。

翻訳

 以下に詩百篇第10巻の全100篇+補遺篇の翻訳を提供する。

 詩番号にリンクが貼ってあるものは、別ページに解説を用意してある。ただし、詩番号の隣の*にリンクが貼ってある場合は、当面、非公開なのでご理解いただきたい。

 リンク先の底本は正篇について 1568A(ギナール式。当「大事典」旧分類では1568B) を使い、補遺篇についてはそれぞれの詩篇の初出を使用している(補遺篇の底本などについて、より詳しくは各詩篇の記事を参照のこと)。

 訳文はいずれも不断の見直しを必要とする仮訳だが、とりわけ解説を作成していない詩については、今後の詳細な分析の中で、主として採用する訳文が大きく変更される可能性があることを、あらかじめご承知おきいただきたい。
 ( )は言葉を補ったもの、〔 〕は難読語の読み、〔= 〕は簡略な語注を指す。

1
敵が敵に交わした誓約は
守られないだろう。捕虜たちは抑留される。
死に瀕する囚人、残りの者は肌着姿に。
残りの者には、留め置かれるための判決が下される。

2
ガレー船の帆が大帆船の帆を隠すだろう。
偉大な艦隊が最弱を遠ざけることになろう。
近い船舶十隻はそれを押し出しに戻るだろう。
打ち破られた結びつくべき大艦隊と一つになる。

3
五の(時日の)後、一群を排除しないだろう。
一人の逃亡者は苦痛のために放免されるだろう。
すぐにも救援が来ると間違ってささやかれるので、
その時に指揮官は攻囲を解くだろう。

4
真夜中に軍の指揮官が
突然に姿をくらまし逃げ出すだろう。
その名声が批判されることなく七年を経て、
彼は帰還すると、耳にしたことを決して語らないだろう。

5
アルビカストルが新たに同盟するだろう。
新たなるアリウス派信徒、リスボンおよびポルトガル諸都市。
カルカソンヌトゥールーズは彼らの策謀を完遂するだろう、
新しい指導者がロラゲから現れるときに。

6
ネマウススのガルドン川では、(河水が)余りにも高く溢れかえるので、
デウカリオンが蘇ったと思われるだろう。
円形闘技場の中へ大部分の人が逃げ込むだろう。
ウェスタの墓所で消えた火が現れる。

7
大きな紛争がナンシーで準備される。
エマティア人は「すべては我が支配下にある」と言うだろう。
ブリテン島はブドウ酒と塩を憂慮する。
二者の中央で、フィ 〔=フェリペ?〕 はメスを長く保てないだろう。

8
セニガッリア伯がその実の息子の
額を人差し指と親指で湿らせるだろう。
ミュルミドネスの軍隊はまず最初に多勢でもって
七日のうちに三人を傷つけて死なせる。

9
カスティーリャのイチジクの木々、霧の日。
汚らわしい女性から至上の君主が生まれるだろう。
短靴 〔=カリグラ〕 という渾名が生前も死後も彼に。
その地方では、かつてそれほどに悪い国王はいなかった。

10
殺人と忌まわしい姦通とによって汚れた、
人類全てにとっての大敵。
その者は祖父たち、おじたち、父たちよりも邪悪だろう。
鉄と火と水で流血を招く人非人。

11
ラ・フンケラの危険な小道から、
遺児がその手勢を通らせるだろう。
軍用荷物を除いてピレネー山脈を越える。
ペルピニャンから公爵がタンドへと駆けるだろう。

12
教皇に選ばれた者が、選出を愚弄されるだろう。
瞬く間に気持ちがくじけ、臆病に。
あまりにも善良で穏和なために、死ぬことへと扇動される。
彼が死んだ夜は、恐怖が消えることを導く。

13
反芻する動物たちの飼料
― それら(の動物)により、ヘルビポリス〔=草の町〕の腹の中に運び込まれた ―
その下に兵士たちが隠され、武器が音を立てる。
アンティポリスの旧市街から遠くない場所で企てられる。

14
彼自身の決断なしに貶められ、よろめく。
豪胆な者が臆し、恐怖に囚われ打ちのめされる。
蒼ざめた多くの娼婦たちに伴われて、
バルセロナの獄舎にて有罪を宣告される。

15
渇きに苦しむ老齢の公爵たる父(は)、
その最期の日に水差し(の提供)を拒む息子(によって)、
生きて井戸に沈められ、死ぬことになるだろう。
老翁は索条に。死(への苦しみ)は軽度だが長引く。

16
フランス王国にて幸い、生活について幸い
流血も死も激昂も掠奪も知らずに。
幇間でない者たちによって羨まれるだろう。
厨房への過大な信頼、王は身ぐるみを剥がれる。

17
一計を案じる王妃は蒼ざめた娘を見る、
肚の中に閉じ込められた後悔によって。
そのとき、悲痛な叫びがアングレームから発するだろう。
そしてゲルマニア人との結婚はきっぱりと閉ざされる。

18
ロレーヌの権威がヴァンドームに道を譲るだろう。
高きは低く置かれ、低きは高く置かれる。
アモンの息子がローマで選ばれるだろう。
そして偉大な二人が欠乏状態に置かれるだろう。

19
彼女が女王として敬礼されるであろう日、
その次の日に誓約と祈祷が。
その打算は理性と価値(の算出)によって行われる。
以前は慎ましやかで、これほどに高慢だったことはかつてない。

20
味方につくであろう全ての友が
書体のざらつきのせいで殺され、掠奪される。
財産は競売に掛けられ、国庫によって大々的に使い果たされる。
かつてローマの民衆がここまで荒らされたことはなかった。

21
より小さき方を支持する王の怒りによって
彼に指輪を贈る者が殺されるだろう。
父は息子から高貴に見られることを望み、
かつてペルシアでマギがしていたようにする。

22
絶縁に同意したがらないために、
その者はあとで卑しいと思われるだろう。
島々の王は武力でもって逐われるだろう。
その地位には王の表徴を持たない者が据えられるだろう。

23
恩知らずな民衆が叱責される。
その時には軍隊がアンチーブを陥落させるだろう。
モナコの城塞では不平が生まれるだろう。
そしてフレジュスに一方も他方も上陸するだろう。

24
イタリアで敗れて囚われた君主は
ジェノヴァから海路でマルセイユまで通り過ぎるだろう。
異邦人たちの強大な軍事力によって打ち破られる、
蜂蜜の小樽の爆発を除いては。

25
ネブロによってブリザンヌへの道が開く。
ずいぶん離れた場所でタホ川が手本を示すだろう。
ペリグーズでは陵辱されるだろう、
劇場の貴賓席に座る貴婦人が。

26
後継者がその義兄(義弟)に復讐するだろう、
復讐の陰の下に王国を支配して。
障害となる者が殺され、その死について彼の血族を非難する。
長いあいだブルターニュはフランスとともにあるだろう。

27
五番目の者と、さる偉大なヘラクレスとが原因で、
(彼らは)好戦的な手でもって神殿を開きに来るだろう。
さるクレメンス、イウルスとアスカニウスが後退させられる。
剣で、鍵も鷲もかつてこれほどに大きな諍いは経験しなかった。

28
第一の音楽を生み出す第二と第三は、
国王から極上の栄誉を受けるだろう。
太った女性と痩せた女性によってほとんど半ば窶 〔やつ〕 れた者が、
ウェヌスの偽りの報告で、打ちのめされたようになるだろう。

29
ポル・マンソル 〔サン=ポール=ド=モゾル〕 の山羊の洞窟に、
隠されるが、捕らわれ、鬚髯 〔ひげ〕 によって外へ引き出される。
捕虜は忌むべき獣のように手ひどく扱われ、
ビゴールの人々によってタルブ近郊へと連れて行かれる。

30
新たに来た聖人の血族である甥は、
その姓によって迫持 〔せりもち〕 や屋根を支える。
(彼らは)追い立てられ、殺され、裸で追放されるだろう。
彼らの緑を赤と黒に変えるだろう。

31
神聖な帝国がゲルマニアに来るだろう。
イシュマエルの末裔たちは開かれた場所を見つけるだろう。
ロバたちもカルマニアを欲するだろう。
支持する者たちは皆、土に覆われる。

32
おのおのが大帝国に従属する。
一人が他の者たちを凌駕し、それ 〔=大帝国〕 を手に入れることになるだろう。
だが、その統治も館もごくわずかな時間しか存在しないだろう。
二年間は艦船で自らを保つことができるだろう。

33
長い衣の残忍な扇動者集団が、
(その衣の)下に鋭い短刀を隠すことになるだろう。
公爵がフィレンツェと二重母音の場所 〔=フィエーゾレ?〕 を占拠するだろう。
その発見は未熟な者たちと阿 〔おもね〕 る者たちによって。

34
戦争によって帝国を占領するであろうガリア人が、
その未成年の義弟によって裏切られるだろう。
曲乗りする者が粗野な馬で引き摺るだろう。
そのせいで弟は長いあいだ憎まれるだろう。

35
本従姉妹と愉しみたいという
激しい情欲に燃え上がる王家のより若き者は、
婦人の服装でアルテミスの神殿へと
赴き、メーヌ出身の見知らぬ女性に殺される。

36
スークの王が戦争に言及した後、
アルモリカの島が彼を軽蔑するだろう。
良好な数年、一人が貪り、そして掠奪し、
島での暴政によって価値を変える。

37
ブルジェ湖近くの大軍が
モンメリアン近くに集まるだろう、
さらに先へと行進して。熟考する者たちは計画するだろう、
シャンベリー、モリエンヌ、サン=ジュリアンでの戦闘を。

38
激しい愛情が遠くないところに座を置く。
守備隊はサンタ・バルバラにいるだろう。
オルシーニとアドリアはガリア人に誓うだろう。
恐怖のために、軍隊によってグリゾンへと引き渡される。

39
長男、未亡人、不幸な結婚、
一人の子もなく。二つの島が不和になる。
十八の前、不適格な年齢。
概ね一層低い他の者によって合意に至るだろう。

40
ブリタニアの王国に生まれるであろう若者、
それは瀕死の父が推挙した者となる。
その死は伯父(叔父)に月並みな考えを抱かせるだろう。
そしてその息子へと王国が請求される。

41
コサドとシャルリュスの境界の、
谷の奥からもほとんど離れていない場所。
リュートの音色がおりなすヴィルフランシュの音楽は、
シンバルや大きな弦楽器に取り囲まれている。

42
アングル人の子孫の人間的な統治が、
その王国に平和と統一を保たせるだろう。
その囲いの中に戦争はほとんど捉われて、
長い間、平和が彼らを維持させるだろう。

43
あまりにも良い時代、溢れんばかりの国王の恵みが
与えられ、怠慢によってすぐに取り去られる。
彼は献身的な妻の虚言を軽々しく信じるだろう。
その善意によって彼は死ぬことになる。

44
ある国王が臣下たちと対立するであろう頃に、
ブロワの生まれの者がリグーリア人たちを従えるだろう。
メメル、コルドバ、そしてダルマティア人たち。
七人が囚われ、国王には予兆と亡霊が影を落とす。

45
ナヴァル王国の真実でない影は
その生活を不法な境遇にするだろう。
カンブレーで交わされた不確かな誓い。
オルレアンの王は合法的な壁を与えるだろう。

46
黄金による下劣で見下げた生死と不幸。
新しくない選帝侯はザクセン出身で、
ブラウンシュヴァイクの者に親愛の印を求めるだろう。
誘惑者たる民衆にとって彼は嘘つきになる。

47
都市ブルゴスの花冠の貴婦人にて、
実行された裏切りのために人びとが責めるだろう、
偉大な高位聖職者を。(彼は)レオンからフォルマンダを経て、
偽の巡礼者たちと強盗たちによって打ちのめされる。

48
軍旗はスペインの最も奥深い場所から、
そしてヨーロッパの境界や果てから発する。
騒擾はレーニュの橋の近くを通り過ぎる。
その大軍隊は群れによって打ち破られるだろう。

49
新しい都市に近いこの世の楽園。
穴のあいた山々の途上にて、
(彼は)囚われて水槽に沈められる、
硫黄に毒された水を力ずくで飲まされつつ。

50
ルクセンブルクの土地周辺のムーズ川は、
宝瓶宮に土星と三つ(の星)を見出すだろう。
山と平原、都市、旧市街と町(が)、
ロレーヌ(で)、洪水(に遭う)。この年、貴人による裏切り。

51
ロレーヌ地方の最も低い数箇所は、
低地ドイツのいくつかと一つになるだろう。
ピカルディ、ノルマンディ、メーヌの司教座の人々によって
それはカントン群 〔=スイス諸州〕 とも一つにまとまるだろう。

52
レイエ川とスヘルデ川が結ばれる場所で、
長い間準備されてきた婚礼が挙行されるだろう。
彼らが塵埃を運び込むアントウェルペンの場所に、
若者、老人、汚されざる妻。

53
長いあいだ三人の愛妾たちが争いあうだろう。
最も偉大な女性が一番そうでない女性に聞き耳を立て続けるだろう。
偉大なスランはもはや彼女のパトロンではないだろう。
砕かれた白い肌は彼のことを火炎と呼ぶだろう。

54
内密の愛妾によってこの世に生を享け、
(複数の)悲報によって二歳で高位に据えられた女性が、
敵たちのあいだで捕虜として囚われ、
メヘレンとブリュッセルに連れて行かれるだろう。

55
不吉な婚礼が祝福されるだろう、
大喜びで。しかし結末は不幸。
夫と母は嫁を侮蔑するだろう。
フィブは死に、嫁はいっそう不憫に。

56
王家の高位聖職者、ひどく痩せた没落。
口から血の大流を発するだろう。
アングル人の王国は一息ついた王国によって、
チュニスでは切り株の如く半死半生になる。

57
持ち上げられた者はその王杖を知らないだろう。
最も偉大な人々の若い子供たちを非難するだろう。
かつて彼以上に汚れた者も残忍な者もいなかった。
黒き者が彼らの妻たちには死を宣告するだろう。

58
服喪の時期に君主スラン
若きエマティア人と戦争をするだろう。
ガリアはぐらつき、小舟は危機に瀕する。
フォカエア人たちを日の沈む方角での会談に誘う。

59
リヨンでは二十五人が一気に
― ゲルマニアの都市民五人、ブレス人たち、ラティウム人たち(を含む) ―
貴族の下で長い行列を導くだろう。
そしてマスチフ犬たちがほえる声によって発見される。

60
私は涙する。ニース、モナコ、ピサ、ジェノヴァ、
サヴォーナ、シエーナカプアモデナマルタ
新年の贈り物として上方に血と剣、
火、地震、水、不吉にして望まれざるもの。

61
ベタ、ウィーン、エモル、スカラバンティアは
パンノニアバルバロイに引き渡すことを望むだろう。
槍と火による甚大な暴力。
陰謀者たちは高齢の淑女によって暴かれる。

62
セルビア近くでのハンガリー襲撃に対し、
ブダの伝令官が彼らに警告しに来るだろう。
ビュザンティオンの指揮官は、スクラウォニアのサロナエから、
アラブの教義に彼らを改宗させに来るだろう。

63
キュドニア、ラグーサ、聖ヒエロニムスの都市は
癒しの救いによって活気付くだろう。
英雄二人の死によって王の息子は死ぬ。
アラブとハンガリーが同じ道を歩むだろう。

64
涙せよ、ミラノ。涙せよ、ルッカフィレンツェ
汝の大公が二輪馬車に乗るであろうことに。
御座を替えるためにヴェネツィア近くに前進する、
コロンナがローマで変化するであろう時に。

65
おお、荒れ果てたローマよ、滅亡が近づいている、
汝の壁にだけでなく、血や実質についても。
文字による無骨さが非常に恐ろしい矢傷を生み出すだろう。
尖った鉄器が全員を柄まで貫くだろう。

66
ロンドンの指導者はアメリカの王国を通じ、
酷寒の時期にスコットランドの島を抑制するだろう。
彼らは戴くだろう、反逆する国王を。ひどい偽りの存在である反キリスト
一人残らず混乱に陥れるだろう。

67
五月に非常に強い震動。
土星は磨羯宮に。木星、水星は金牛宮に、
金星も同じく。巨蟹宮には火星。アノネーでは
その時に卵より大きな雹が降るだろう。

68
海からの軍隊は都市の前にとどまるだろう。
そして出発するだろう。長旅をすることはなく、
市民たちから陸上で大きな戦利品を得るだろう。
艦隊が戻って大掠奪を再開する。

69
昇進した新参の老人による輝ける行為は
南方でも北方でも非常に大きなものだろう。
その実の姉(妹)の大いなる翼に持ち上げられる。
逃れて、アンベルの茂みで殺される。

70
目が物体(に当たること)により、かくも腫れ上がるだろう。
かなり(腫れ)、そして熱い。しかるに雪が降るだろう。
潤った耕地が減退することになるだろう、
レッジョで首座司教が屈するであろう時に。

71
大地と大気は非常に大きな水を凍らせるだろう、
人々が木曜日を崇拝しに来るであろうときに。
(未来に起こるであろう)そのことは、(過去には)決して美しいものではなかった。
四方から、人々はそれを賞賛しに来るだろう

72
千九百九十九年、七か月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アングーモワの大王を蘇らせ、
マルスの前後に幸運によって支配するために。

73
今の時代は過去とともに、
偉大なユピテル主義者に裁かれるだろう。
世界は後に彼に疲弊させられ、
そして教会の法曹家により不誠実とされるだろう。

74
七番目の大きな数が巡り終わると、
ヘカトンベの競技の時期に生じるだろう、
千年紀の大きな年代から遠からずして、
被葬者たちが墓から出てくるだろうことが。

75
非常に待望されたものは決して戻らないだろう、
ヨーロッパヘは。アジアに現れるだろう、
偉大なヘルメスから発した同盟の中のひとつが。
そして東方のあらゆる王の上で成長するだろう。

76
偉大な元老院が見抜くだろう、
後に打ち破られ、追い払われるであろう一人の虚栄を。
彼の支持者たちは喇叭の音で(召喚され)
財産が競売にかけられ、敵として追い出されるだろう。

77
クイリテス〔=ローマ市民〕の秩序を支持する三十人は
弾圧され、その財産は敵たちに与えられる。
その善行の全てが欠点の側に分類されるだろう。
艦隊は散り散りになり、海賊たちに引き渡される。

78
突然の喜びが突然の悲しみへと、
恩寵に包まれたローマで変わるだろう、
悲嘆、叫び、悲哀、涙、流血が歓喜を上回りつつ。
敵対する部隊は急襲されて囚われる。

79
古い道々は全て飾り立てられ、
メンフィスにてその入市が認められるだろう。
白百合の花のヘラクレスの偉大なるメルクリウス
大地、海、国を揺り動かしつつ。

80
王国の王たる偉人の偉大な王国にて、
(彼は)軍隊の力によって青銅の大門を
開かせるであろう、王と公爵を結び付けつつ。
崩れた港、船は水底に。(天候は)穏やかな日。

81
ヘスペリアの都市住民たちにより、財宝が神殿に置かれ、
その中でも秘密の場所で保護される。
飢えた係累たちがその神殿を開く。
奪われ、奪い返される。中心での恐るべき掠奪。

82
叫び、涙、悲しみが短刀とともに来るだろう。
逃げる振りをして最後の襲撃を仕掛けるだろう。
死の周囲に深い盆を置く。
生者たちは押し返され、たちまち殺される。

83
交戦の徴候が与えられることはないだろう。
城郭の外に出ることを強いられるだろう。
自らの部下すべてを死に追いやるであろう者の
軍旗がヘントの周囲で見られるだろう。

84
正当な女性〔=正妻〕が低くなく非常に高くへ。
遅れた帰還が夫たちを争わせるだろう。
(供述の)検真が討論なしに行われることはないだろう、
かの時のすべてを満たし、また失いつつ。

85
老いた護民官は震えがして、
囚われ人を解放しないように迫られるだろう。
望みでない望み。物怖じしてそのことをうまく話せずに、
適法にその友人たちへと引き渡す。

86
グリフィンのようにヨーロッパの王が来るだろう、
アクィロの人々に随行されて。
彼は赤と白の者たちの大軍隊を導くだろう。
そして彼らはバビロンの王に対抗するだろう。

87
大王がニース近くの港を奪いに来るだろう。
死によって大帝国も同じようにするだろう。
アンティポリスに彼の眷属を配置するだろう。
海からの掠奪がすべてを消し去るだろう。

88
二日目の夜警の時に、足と馬〔=歩兵と騎兵〕が
入り込むだろう。海からすべてを荒らしつつ。
毛〔=バルバロッサ?〕がマルセイユの内部に入るだろう。
涙、叫び、血。これほどに辛い時代はかつてなかった。

89
レンガから大理石へと壁が変えられるだろう。
五十七年間の平和。
人々には喜び。水道橋は繋ぎ直される。
健康、大きな果実、喜び、そして蜜の時代。

90
非人間的な暴君が百回死ぬだろう。
その座には穏和な賢者が据えられる。
元老院全体が彼の手の下にあり、
奸悪にして不敵な者に悩まされるだろう。

91
ローマの聖職者よ、千六百と九の年、
その年の初めに、汝らは選挙を行うだろう。
仲間から出た灰色と黒の中から、
かつてないほどの悪しき者が。

92
父の前で子どもが殺されるだろう。
その後で父は燈心草の縄の中に。
ジュネーヴの人々は大いに骨折りをさせられるだろう。
指導者は中央で丸太のように横たわる。

93
新しい小舟が旅を受け入れるだろう。
(その旅は)其処やその近くに帝国を移すだろう。
ボーケール、アルルは人質たちを留め置くだろう、
発見された斑岩の円柱二本の近くに。

94
ニームアルルヴィエンヌの者は軽蔑する、
ヘスペリアの勅令にまったく従わない者を。
その貴人に骨折りを余儀なくさせるために。
セラフィムの服装で〔=フランシスコ会士の格好で〕六人が逃がされる。

95
イスパニア諸地域に非常に強い王が来るだろう、
海と陸から今まさに南方を征服しつつ。
この悪事が三日月を低くしつつ、
金曜日の人々に翼を下げさせるだろう。

96
海の名前の宗教が勝つだろう、
アダルンカティフの息子の宗派に対して。
頑迷な宗派は憐れまれることを恐れるだろう。
アレフとアリフによって二方向から傷つけられる。

97
三段櫂船はあらゆる年齢の捕虜で満たされる。
時代は吉から凶へ。甘美には苦渋が。
バルバロイたちの餌食になる。(彼らは)あまりにも迅速だろう。
羽が風に舞って悔やむのを見たがる。

98
陽気な乙女への明るい光は
もはや輝かないだろう。長い間、塩のない状態になるだろう。
商人たち、放蕩者たち、狼たちとともに耐えがたく、
全てが混乱し、怪異はいたるところに。

99
最後には、狼、獅子、牛、ロバ、
臆病なダマジカが、マスチフ犬とともにあるだろう。
彼らにはもはや甘いマナが降ることはなく、
マスチフ犬に見張りや監視の任が下ることもないだろう。

100
大帝国はイングランドのために、
三百年以上のパンポタンとなるだろう。
大軍隊が海と陸を通り過ぎる。
ルシタニア人たちはそのことに満足しないだろう。

補遺篇

フォークが二本の柱に支えられ、
六つの半分の体と六つの開いたハサミを引き連れる時。
ヒキガエルの跡継ぎである非常に強い君主が、
そのときに全世界を彼の許に従えるだろう。

  • 1691年頃に追加された2篇
詩百篇第10巻補遺篇1 (1691年)
赤い法衣は、窓を通るであろう時に、
ひどく虚弱になるが、咳によるものではない。
人々は四十オンスでその頭を斬り落とし、
そして間近で、トゥーに彼の後を追わせるだろう。

詩百篇第10巻補遺篇2 (1691年)
フォークが二本の柱に支えられ、
六つの半分の角笛と八つの開いたハサミを伴っているとき。
ヒキガエルの跡継ぎである非常に強い君主が、
そのころ世界を部分的に支配するだろう。


※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

タグ:

詩百篇第10巻
最終更新:2021年09月16日 01:27