Boni.

 Boni.詩百篇第8巻52番の途切れた4行目に登場する何らかの固有名詞(おそらく地名)と思われる語。
 ポワン(ピリオド)の存在は略しているためなのか、文末としての句読点なのか、はっきりしない。

 ジャック・ガリガン版『予言集』(アヴィニョン、1791年)では、Bonieu となっている。
 アナトール・ル・ペルチエが指摘するように、これはプロヴァンスの都市ボニウ (Bonnieux) と理解できる*1

 しかし、この異文の正統性は疑わしい。
 また、文脈との整合性から、以下のような可能性も指摘されている。

  • エドガー・レオニは、ポワチエの少し南にあるボンヌ=ヴォー修道院(Bonnes-Vaux)の方が適切としていた*2

  • ジャン=ポール・クレベールはボニファシオ(Bonifacio, コルシカ島の町)やボニウを挙げつつも、文脈からボニ=シュル=ロワール(Bonny-sur-Loire)を推している*3。マリニー=ローズもボニ=シュル=ロワールを支持している*4。特に注記はしていないが、現代フランス語訳、英訳の双方で Bonny としているピーター・ラメジャラーも同じ見解なのかもしれない*5リチャード・シーバースもロワール川沿いとしてBonnyと英訳しているので、ボニ=シュル=ロワールの立場だろう。


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最終更新:2020年06月09日 00:25

*1 Le Pelletier [1867b]

*2 Leoni [1982]

*3 Clébert [2003]

*4 Rose [2002c]

*5 Lemesurier [2003b]