Armonique

 Armonique terre という形で詩百篇第4巻95番に登場するが、Armonique というフランス語は存在しない。

 このため、1588年ニコラ・ロフェ未亡人版などに見られる異文を支持し Armorique terre の誤植と捉える立場と、 ピエール・リゴーの版などに見られる異文を支持し Armenique terre の誤植と捉える立場がある。

 前者をとっているのはブリューノ・プテ=ジラールピーター・ラメジャラーであり、アルモリカの土地、つまりブルターニュと理解している。

 後者を支持しているのは、ジャン=ポール・クレベールであり、アルメニアの土地と理解している。

 さて、以下は当「大事典」としての勝手な読みだが、仮に原文を最大限尊重すると、Harmonique との発音の一致にも注意されてしかるべきではないだろうか。
 ノストラダムスは Ister と Hister などのように、h のある綴りとない綴りを混用することがある。
 harmonique は「調和の」といった一般的な形容詞だが、固有名詞的に捉えるなら、調和の女神ハルモニア(Harmonia)の形容詞化と見ることも出来る。
 ハルモニアはマルスウェヌスの娘で、ギリシャ神話ではテーバイ建国の父カドモスに嫁いだとされている。このことを考えれば、「ハルモニアの土地」はテーバイを指すことになるのではないだろうか。


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  • 「調和の大地」は戦争で統一した南北ベトナムを意味する。 -- とある信奉者 (2019-08-15 10:27:38)

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最終更新:2019年08月15日 10:27