L.V.

 L.V.は、予兆詩第4番にだけ登場する、意味が確定されていない略語。
 当時は特に大文字の場合、V と U の使い分けはルーズだったため、L.U. の可能性もある。

 アルファベット通りに発音すれば「エル・ヴェ」もしくは「エル・ユ」だが、ピエール・ブランダムールは、韻律上1音節で「リュ」(LU)と読まれるべきとしている。この読み方をとる場合、エドガー・レオニが示したルター(LUther)の略とする読み方も、一定の説得力を持つように思える(この詩の手稿は見つかっていないので、オリジナルでピリオドが打たれていたかどうかは不明である)。

 他の読み方としては、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーが手稿で示していたというカール5世(Charles Le V.)とする読み方などもある*1。時代的文脈には当てはまっているが、カール5世を略すときに L.V. とするというのは、少々不自然にも思える。

 アナトール・ル・ペルチエは、L.V.というイニシャルを持つ人名だとしか注記しておらず、具体例を挙げていない*2
 ノストラダムスと同時代でL.V. というと、ローラン・ヴィデル(Laurent Videl)がいた。彼はノストラダムスの批判者であり、「友はL.V. に結び付けられている」という詩句は、旧友スカリジェ(未作成)が批判者の側に回ったことと理解できなくもない。ただし、ヴィデルがノストラダムスへの批判書を刊行するのは1558年のことであり、年代的に食い違う。


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最終更新:2009年09月20日 11:57

*1 Chevignard [1999]

*2 Le Pelletier [1867b]