原文
La stratageme simulte sera rare
La mort1 en voye rebelle par contree
Par le retour du voyage Barbare
Exalteront la protestante entree.
異文
(1) mort : Mort 1672
(注記)底本は1588Rf で、比較に用いたのは 1589Rg, 1589Me, 1605, 1611A, 1628, 1649Ca, 1649Xa, 1650Le, 1660, 1668, 1672 である。リヨンで出された版などには原則として掲載されていない。上掲の通り、この詩は異文がないに等しい。
日本語訳
憎しみの謀略は稀だろう。
地方による叛乱の途上での死。
バルバロイの旅からの帰還により
彼らはプロテスタントが入ることを褒め称えるだろう。
訳について
大乗訳1行目「いつわりの策略はまれにあり」の「いつわり」は、
ヘンリー・C・ロバーツの英訳 The simulated stratagem shall be scarceに基づいているのだろうが、
simulteを simulated と英訳するのは不適切である。ガランシエールは正しく grudge と英訳しているので、ロバーツの誤訳は純粋に彼自身の語学知識に起因している。
信奉者側の見解
ジョン・ホーグは宗教戦争中の描写で、プロテスタントとイスラーム勢力の結びつきについて触れたものの可能性を示した。ただし、ホーグ自身、そのような結びつきに関する説得的な史実が見つからないことを認めている。
同時代的な視点
この詩は
予兆詩第74番の前半と後半を入れ替えたものに過ぎない。これを百詩篇第7巻82番として百詩篇に組み込んだのは、
バルブ・ルニョーの非正規版『予言集』が最初であり、百詩篇の詩としては何の正当性も持っていない。
予兆詩の1篇としてなら、確かにホーグがいうような想定で書かれた可能性はあるのかもしれない。
最終更新:2009年09月21日 12:49