百詩篇第3巻5番

原文

Pres, loing1 defaut de2 deux grand luminaires3
Qui suruiendra entre l'Auril4 & Mars.
O quel cherté !5 mais deux grands debonaires6
Par terre & mer7 secourront toutes pars.

異文

(1) loing : le de 1672
(2) de : des 1672
(3) grand luminaries 1555 1557U 1840 : grands luminaires T.A.Eds.
(4) l'Auril : Auril 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le
(5) cherté ! : cherté 1557U 1557B 1568C 1588-89 1589PV, cherté? 1653 1665
(6) debonaires : debonnaire 1611B, eebonnaires 1772Ri
(7) terre & mer : Terre & Mer 1672

日本語訳

二つの大きな発光体の消失から近く遠い。
それは四月と三月の間に起きるだろう。
おお、なんと高くつくのか! しかし、二人の偉大な好人物が
陸と海を通じて全ての地域を救うだろう。

訳について

 2行目は直訳したが、普通に「3月と4月の間に」ということだろう。「ある年の4月から次の年の3月まで」と解釈できないこともないが、それは「1年のうちのいつか」と言っているに等しく、意味のない期間指定である。
 3月と4月の順序が逆になっているのは、単に押韻の都合などではないかと思われる。

 山根訳も大乗訳も、細かい点に疑問はあるものの、おおむね許容範囲内だろう。

信奉者側の見解

 エリカ・チータムは、詩百篇第3巻4番と関連付け、1行目はイラン・イラク戦争とした。その上で後半の「二人の偉大な好人物」はアメリカと英・仏・伊のいずれか1国のこととした*1

 セルジュ・ユタンは、第二次世界大戦序盤に英仏(「二つの大きな発光体」)がドイツに倒されたものの、米ソ(「二人の偉大な好人物」)が支援したことと解釈した*2。この解釈は、ボードワン・ボンセルジャンによって、1915年3月にイタリアが、1917年4月にアメリカが、それぞれドイツに宣戦布告したこととする解釈に差し替えられた*3

 ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌは、「二つの大きな発光体」を金・銀と解釈し、第三次世界大戦に先立って起こる経済危機と物価高騰の予言と解釈していた*4

同時代的な視点

 ここでいう「二つの大きな発光体」は、旧約聖書『創世記』の記述から、太陽と月を指すと考えられる。
「神は二つの大きな光るものを造られた。昼を治める大きな光るものと、夜を治める小さな光るものである。また星を造られた」(『創世記』第1章16節、聖書協会共同訳)

 ピエール・ブランダムールは、詩百篇第3巻4番と関連付け、1540年3月から4月にかけての月食と日食の描写と解釈している。そのとき、3月22日には東欧で月食が、4月7日にはバルカン半島を含む南東ヨーロッパで日食が、それぞれ観測された。ここではそれが物価高騰の予兆となることが示されているが、同時にそれが優れた為政者によって緩和されることが描かれている*5

 ロジェ・プレヴォは、1540年にブルゴーニュでひどい雹が降ってブドウを台無しにしたほか、1541年と1542年には寒波のせいで食料の高騰が起こったことを指摘している。ピーター・ラメジャラーは、同じ頃に塩税が免除されていたフランス中西部で新たに塩税が課されることになったことにも触れている。

 ラメジャラーはさらに『ミラビリス・リベル』が描く終末の情景との類似性にも触れている。


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  • 本篇は -- 名無しさん (2017-05-24 08:28:32)
  • 3.11の的中詩 nairesのriesはリアス式海岸、naiで湾内 lumiとdeboを合成するとdebouil十M、depouilleは遺体 bを反転したpを反転するとqとなりM9 Mはローマ数字で千、冒頭のOと合成すると汚染 parとpartsの反転部tsに直前のtoute(皆)を合成すると津波 大きい二は2000年、3×4のpre(前)は11年 9を反転した6を3章5篇に合成すると3.11 -- 星野光輝 (2017-06-01 18:05:35)

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百詩篇 第3巻
最終更新:2021年08月06日 00:18

*1 Cheetham [1990]

*2 Hutin [1978]

*3 Hutin [2002/2003]

*4 Fontbrune [1980/1982]

*5 Brind’Amour [1996]