予兆詩第17番

予兆詩第17番 1557年4月について

原文

Fait desloyal, mis en mains d'ennemis,
Pris, de nuit, entre, sort, sinistres intrades1,
Monstre, du grand conseil bon, l'enfant mis,
L'embuche à Sienne2, & aux Isles Stecades3.*1

異文

(1) intrades : intrudes 1557Ke
(2) Sienne : Siene 1557Ke
(3) Stecades : stecades 1557Ke

校訂

 3行目 intrudes をピエール・ブランダムールは当初、ジャン・デュペーブの示唆に従い entrades と校訂していたが、後に intrades とした*2ベルナール・シュヴィニャールの校訂も、それと同じである。彼らの判断の根拠のひとつは、百詩篇第4巻44番の De nuech l'intrado と表現が類似していることにある。

日本語訳

不誠実な行為で、敵の手に落ち、
夜にとらわれる。不吉な入口を出入りし、
大物を見せびらかす。良き顧問のもとに、幼子は置かれる。
シエーナストエカデス諸島には罠。

訳について

 以下でみるブランダムールの読み方に従って、いくつかの前置詞を補う形で訳した。

解説

 この詩は『1557年向けの暦』に収録されていたが、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは『フランスのヤヌスの第一の顔』で紹介しなかったため、後の時代にはほとんど忘れ去られていた。

 結果として、この詩には信奉者たちが解釈を積み重ねることもなかった。

 詩の4行目は分かりやすいが、3行目までが分かりづらい。ブランダムールによると、それらは、裏切りによって敵に捕らわれた大物が引き回されることと、その人物の子供が良い後見役の下に置かれることを描いたものらしい*3


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予兆詩
最終更新:2009年09月21日 14:25

*1 Chevignard [1999] p.121

*2 Brind’Amour [1993] p.281, Brind’Amour [1996] pp.525-526

*3 Brind’Amour [1993] p.281