予兆詩第18番

予兆詩第18番(旧16番) 1557年5月について

原文

Conjoint icy, au ciel1 appert depesche2,
Prise, laissée, mortalité non seure,
Peu pluye, entrée, le ciel3 la terre4 seche5,
Defait6, mort, pris, arrivé à mal'heure7,*1

異文

(1) au ciel : au Ciel 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668A
(2) depesche : despeche 1557Ke
(3) le ciel : le Ciel 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668A
(4) terre : ter re 1649Xa
(5) seche : seiche 1557Ke
(6) Defait : De fait 1649Ca 1650Le
(7) mal'heure 1594JF : mal heure T.A.Eds. (sauf mal-heure 1668P)

(注記)1557Ke は『1557年向けの暦』に見られる異文。

日本語訳

今月に結びつく急報が空に現れ、
受理され、放置される。死者の数は不確定。
月初めには雨がほとんどなく、天は地を干上げる。
敗北、死、捕囚、逮捕、不運にも。

訳について

 3行目に唐突に現れる entrée(入ること、入り口、始まり)が何のことだか分からない。ここではこの月(1557年5月)が始まったばかりの時期と見なして、月初めと訳した。ちなみにベルナール・シュヴィニャールは何も注記しておらず、エドガー・レオニは語順どおりに逐語訳しているだけなので、どちらも訳の上で参考にすることができなかった。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1558年4月の予言として、1行目は、その24日に王太子フランソワ(のちのフランソワ2世。シャヴィニーは1世としているが明らかに誤り)とメアリー・スチュアートが結婚したことと解釈した。2行目の「受理され、放置される」の部分で、その結婚が長続きしないことを暗示しているというが、4行目は不明として解釈していない*2

 ジョン・ホーグはテレビなどの遠距離通信の発達に関連する予言と解釈した*3

同時代的な視点

 空に現れる急報は、何らかの「驚異(未作成)」を意味しているのだろう。しかし、その警告が活かされることなく、不幸な出来事が続くといったイメージが語られているように見える。


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予兆詩
最終更新:2009年09月21日 18:35

*1 原文は Chevignard [1999] p.122 による。4行目の終わりがヴィルギュル〔カンマ〕になっているのは原文ママ。

*2 Chavigny [1594] p.54

*3 Hogue [1997/1999]