予兆詩第19番

予兆詩第19番 (旧17番) 1557年6月について

原文

Victor naval 1 à hourche 2 , Anvers 3 divorce,
4 grand 5 du ciel 6 , feu, tremblement 7 , haut brule
Sardaigne 8 bois, Malte, Palerme 9 , Corse.
Prelat mourir, l'un frape 10 sus 11 la mule 12 . *1

異文

(1) naval : naual. 1628 1649Ca 1650Le 1668
(2) hourche : houches 1557Ke, Houche T.A.Eds.
(3) Anvers : enuers 1557Ke
(4) Né : N'ay 1557Ke
(5) grand : Grand 1594JF
(6) du ciel : du Ciel 1650Le 1668A
(7) tremblement : tremble 1557Ke
(8) Sardaigne : Sardaig 1557Ke
(9) bois, Malte, Palerme, : Palerm. Malth. boys. 1557Ke
(10) frape : frappe 1557Ke
(11) sus : sur 1650Le 1668
(12) mule 1557Ke 1594JF : Mule T.A.Eds.

(注記)1557Ke は『1557年向けの暦』に見られる異文。

校訂

 ベルナール・シュヴィニャールの校訂は、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーの修正に多くを依拠している。しかし、1行目の意味不明の単語 houches については、百詩篇第3巻64番ピエール・ブランダムールが展開した考察などをヒントに独自の校訂を行った。
 当「大事典」では Houche もそれほどおかしくないように判断しているが、とりあえずここではシュヴィニャールの校訂に従った。

日本語訳

輸送船で海戦に勝利するが、アントウェルペンは絶縁する。
天から生まれた偉人。火、震撼、高い燃焼。
サルデーニャ、木、マルタ、パレルモ、コルシカ。
高位聖職者は死ぬ。一人の者がラバに跨り打ち据える。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは1566年7月におきたアントウェルペン周辺の騒擾と関連付けているが、後半については何も解釈していない *2

 ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌは、1809年にアントウェルペンでイギリス軍を破ったナポレオンに関する予言と解釈した *3

同時代的な視点

 信奉者のジョン・ホーグは、この詩が16世紀半ばの文脈で理解できる可能性を示している。
 サルデーニャの木材は当時ガレー船などの建材に用いられていたという。マルタ島は1565年に攻囲に遭っており、パレルモやコルシカ島も1550年代から1560年代にかけて度々海賊などに悩まされていた。
 4行目をホーグは「死すべき高位聖職者がラバに跨った男を打ち据える」と訳しており、旅行中のノストラダムス(「ラバに跨った男」)を迫害した高位聖職者の死を織り込んだものだろうとしている *4

 いささか強引な点もあり、また前半について何も注記していないが、同時代的な文脈で理解できる可能性を示している点には、一定の価値を認めるべきだろう。


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