Anglique は、意味の推定に2つの説がある単語。
意味
イングランド説
まずは、Angles(アングル人;アングロ・サクソンの部族の一つ)の派生語として、
イングランドあるいはイギリスと結び付ける説である。
イングランドは「アングル人の土地」の意味であり、フランス語名Angleterreも同じ意味である。
【画像】桜井俊彰『イングランド王国前史―アングロサクソン七王国物語』
天使説
イングランド説などと明らかに異なるのが、「天使の」という意味に解する場合である。
マリニー・ローズはフランス語で古くは天使 (ange) を Angle とも綴ったことから、その形容詞として「天使の」という意味としている。
【画像】Howard Hibbard, Bernini (Pelican S.)
エドモン・ユゲの『16世紀フランス語辞典』には、この語の副詞形と思われるAnglicquementという語が登場しており、用例としてラブレーの『パンタグリュエル』(第二の書)第11章の以下の箇所が挙げられている。
- Par bien soy bassiner anglicquement
この個所は日本では以下のように訳されている。
- 天使のようにしっぽり体を濡して(渡辺一夫訳)
- ただただ天使のように身体をば濡らして(宮下志朗訳)
天使のように体を濡らす、というのは意味が分からないかもしれないが、もともとこの11章は支離滅裂な弁論の場面であるので、深入りする意味はない。
ただ、このような同時代の用例を踏まえれば、「天使の」と訳すことにも一定の説得力はあるように思われる。
登場箇所
※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
コメントらん
以下に投稿されたコメントは書き込んだ方々の個人的見解であり、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。
なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。
- ペルチエが「天使」と解釈していて萎えた。 -- とある信奉者 (2010-09-05 01:12:04)
最終更新:2022年03月30日 23:52