Gallot

 現代フランス語では Gallot は Gallo と同じとなっており、Gallo は「ガロ語(東部ブルターニュの地方語)を話す人」の意味である*1

 Gallot / Galot は古語で、名詞としては貨幣の一種、形容詞としては「フランスの言葉を使う」の意味だった*2
 これはDALFの語義だが、LAFには「フランス語が話される(場所)」とある。
 当「大事典」で参照している範囲では、ほかの古語辞典の類には見当たらない。

 マリニー・ローズは「フランス語を話す人」と理解している*3
 16世紀のジャン=エメ・ド・シャヴィニーも Gallois / Gaulois(ガリア人)と同一視していた*4

Galliot

 詩百篇集では、Galliot / Galiot という異文で出てくることもある。
 その意味は「ガレー船の漕手、漕役刑囚」、「海賊」の意味である*5

 ほかの意味として、「ガリオット船」*6、「小型のガレー船」*7、「小型船」(petit navire)*8という意味を載せている辞書と、「(外洋航海用の)大船」(navire)*9という語義を載せている辞書がある。

 現代フランス語でガリオット船(小型のガレー船)はgalioteと綴るが、これは古フランス語のgaliotを、イタリア語形の影響で女性化したものらしい*10

 「水夫、水平、下級船員」(matelot)*11や、ハーブの一種の意味もあったらしい*12

ノストラダムス関連

 詩百篇集での登場箇所は以下のとおりである。
 3か所はいずれも1557Uを初出としており、その初出に即する限りでは、すべてgallotzとなっている。

 予兆詩集では1か所でだけ登場する。

 1558年向けの詩は、1556年ないし1557年のうちに書かれていたと考えられるので、詩百篇集の登場箇所と同じ時期に書かれていた可能性がある。
 この予兆詩はオリジナルが残っておらず、転記されたものでしか確認できない。少なくともそれによれば、Gallotsとなっていたらしい。


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用語
最終更新:2020年03月28日 00:41

*1 『ロベール仏和大辞典』、『ロワイヤル仏和中辞典』第2版ほか

*2 DALF, T.04, p.214

*3 Rose [2002c]

*4 cf. Chevignard [1999] p.127

*5 DALF, DLFS, DFE, DMF

*6 DALF, T.04, p.210

*7 DdFM, p.1665

*8 DMF pp.318-319

*9 DLFS, T.04, pp.256-257

*10 『ロベール仏和大辞典』

*11 DMF, DdFM

*12 DFE