百詩篇第8巻97番


原文

Aux fins du VAR1 changer le2 pompotans3,
Pres du riuage4 les trois beaux enfans naistre.
Ruyne au peuple par aage5 competans,
Regne au pays6 changer7 plus voir8 croistre.

異文

(1) du VAR : du Var 1590Ro 1672, de VAR 1600 1610 1716, de Var 1627 1644 1650Ri 1840, du var 1653 1665
(2) le : les 1603Mo 1627 1650Ri 1772Ri
(3) pompotans : pempotans 1568A 1653 1665, pampotans 1590Ro, Pompotans 1605 1611B 1628 1649Ca 1649Xa 1650Le 1668 1672 1840 1981EB, Pom potans 1611A
(4) riuage : tiuage 1653, Rivage 1672
(5) aage : Aage 1672
(6) au pays : aux pays 1611B 1981EB, au Pais 1672
(7) changer : charger 1649Ca 1650Le 1668 1840
(8) plus voir : & plus voir 1627 1644 1650Ri 1650Le 1668 1981EB

日本語訳

ヴァール川の境目でパンポタンが変わる。
その岸辺では美しい三人の子供たちが生まれる。
成年になると、人々に破滅が。
その地方で王国が変化し、そして成長するのを見る。

訳について

 山根訳はおおむね許容できるが、3行目「民は老齢に達したとき滅ぶ」は少々不適切に思える。ジャン=ポール・クレベールが指摘するように competants とは、「成年」を意味しているからである。4行目「その国では王国が伸び育ち さらに変貌するのが認められる」は、「伸び育ち」と「変貌する」は原文では順序が逆である。

 大乗訳1行目「戦いのおわりに栄光に変わり」*1はヘンリー・C・ロバーツの英訳のほぼ直訳だが、不適切。「戦い」はVar を英語の War と読んだ結果だとしても、Pompotans がなぜ「栄光」になるのかはまったく不明。残りの行は許容されうる訳。

 なお、ジャン=ポール・クレベールは、フランス語では beau-fils(義理の息子)、beau-frère(義理の兄弟)など、beau(美しい)が義理の家族関係を表す単語として使われていることから、この詩でのbeau も類似の意味で使われている可能性があることを指摘している。

信奉者側の見解

 セルジュ・ユタンは細かい解釈はしていないが、フランス革命の予言としている*2
 エリカ・チータムは「美しい三人の子供」はケネディ家の三兄弟ではないかとした*3
 ジョン・ホーグは、ヴァール川周辺がノストラダムスの時代のサヴォワ公国の国境線だったことから、サヴォワ公国に関する予言と解釈した。そして「三人の美しい子供」のひとりは、ヴィットーリオ・アメデーオ2世(1675年 - 1732年)だろうとした。彼のときにフランスとの同盟を破棄し、オーストリア側に付いたことで、スペイン継承戦争中にサヴォワはフランス軍から猛攻を受けたからである*4

同時代的な視点

 ピーター・ラメジャラーは不明としている。ジャン=ポール・クレベールは、ニース周辺で三人の子供が生まれ、彼らが成長したときに人々に破滅が訪れ、そのことがサヴォワ公国の勢力拡大につながるという描写ではないかとしているが、特定の歴史的な事柄には結び付けていない。


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