予兆詩第28番

予兆詩第28番(旧25番) 1558年3月について

原文

Vaine rumeur dedans la hierarchie.
Rebeller Gennes, insults, courses1, tumultes.
Au plus grand Roy2 sera la monarchie.
Election, conflit couvert3, sepultes.*1

異文

(1) insults, courses 1589Rec : courses, insults T.A.Eds.
(2) grand Roy : grad Roy 1668P
(3) couvert 1589Rec 1594JF(p.190, p.214) : couverts 1594JF(p.56) & T.A.Eds.

(注記)校訂に関する注意事項は予兆詩第26番の異文欄を参照のこと。

日本語訳

ヒエラルキア内部での虚しい騒ぎ。
ジェノヴァは反逆する。蜂起、侵攻、騒乱。
最も偉大な王のもとに、君主制は属するだろう。
選挙、覆われた紛争、葬られた者たち。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、この詩を細切れに理解している。まず1行目は1559年1月に教皇パウルス4世が教皇庁内の改革に着手し、大きな議論を巻き起こしたものの、長く続かなかったことの予言とした。2行目全部と4行目の「選挙」以外は、1570年から1575年までの間、ジェノヴァ共和国内を騒がせた新旧の改革運動についてと解釈した。3行目から4行目冒頭にかけては、1573年にヴァロワ家のアンリ(のちのフランス王アンリ3世)が、選挙によってポーランド王になったことの予言とした*2

 ジョン・ホーグは、この場合のジェノヴァ(Gennes)をラテン語のgenus(階級)に由来する言葉と捉え、ロシア革命の予言と解釈した*3


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予兆詩
最終更新:2009年12月04日 22:55

*1 原文は Chevignard [1999] p.128 による

*2 Chavigny [1594] pp.56, 190, 214

*3 Hogue [1997/1999]