予兆詩第32番

予兆詩第32番(旧29番) 1558年7月について

原文

Gresle1, tonnerre, maints2 champs depopulez3.
Frayeur & bruit, assault à la frontiere.
Grand grand4 failli, pardon aux exilez5.
Germains, Hispans, par mer Barba. banniere. *1

異文

(1) Gresle 1589Rec : Guerre T.A.Eds.
(2) maints : mains 1589Rec 1649Ca 1650Le 1668
(3) depopolez : de populez 1649Ca
(4) Grand grand 1589Rec : Grand Grand T.A.Eds.
(5) exilez 1589Rec 1668P : Exilez T.A.Eds.

(注記)校訂に関する注意事項は予兆詩第26番の異文欄を参照のこと。

日本語訳

雹と雷鳴、いくつかの野は人がいなくなる。
恐怖と喧騒、前線への強襲。
偉大にして偉大なる者は亡び、亡命者たちは赦される。
ゲルマニア人、イスパニア人。海を通じてバルバロイの軍旗が。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、1558年6月にチオンヴィル(Thionville)でフランス軍が勝利したことと解釈した(彼は異文欄にあるように、gresle を guerre に改竄している)。2行目はルクセンブルク近郊のアルロン(Arlon)での騒乱と、グラヴリーヌでのテルム殿(le Sieur de Thermes)の敗北を描いているとし、3行目前半は1558年に歿した元神聖ローマ皇帝カール5世のこととしている*2


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予兆詩
最終更新:2009年12月04日 23:10

*1 原文は Chevignard [1999] p.129による

*2 Chavigny [1594] p.56