予兆詩第34番

予兆詩第34番 1558年9月について

原文

Fait descouvert, pris captif, mer passer.
Paix, non paix, traite rompue1, non mariage.
Camp, cité neuve, my-laine2 fort dresser.
La pointe & corne courra sus au fourrage3.

異文

(1) traite rompue : traité rompu HR
(2) my-laine : myllayne HR
(3) fourrage : forage HR

(注記)HR はエクトール・リゴーのメモを指す。ここではダニエル・ルソベルナール・シュヴィニャールの紹介を基にした。

日本語訳

発見された事実、捕われた捕虜、海を通る。
平和、非平和、拒絶された交易、結婚はない。
陣営、新しい都市、半分の羊毛は強く立て直す。
最先端と角は飼い葉の上を巡るだろう。

コメント

 この詩はオリジナルが残っておらず、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーが転記していた手稿とエクトール・リゴーによるメモしかない。

 リゴーのメモを元に最初にこれの存在を公刊したのはダニエル・ルソだったが、特に注目されることもなく、信奉者たちが解釈を重ねることもなかった。

 3行目の「半分の羊毛」(my-laine, ミレーヌ)はミラノ(Milan, ミラン)の言葉遊びだろう。ほぼ同じ言葉遊びは予兆詩第27番にも登場している。
 1558年向けの予兆詩にはどういうわけかイタリアの地名が多い。執筆された時期(1557年前半)はノストラダムスのイタリア小旅行(1556年)から間もなくに当たっていたので、その印象が強かったのだろうか。
 そういう視点で3行目を見ると、陣営(Camp)はカンパーニア地方(Campania)を、「新しい都市」はそれを語源にもつナポリを、それぞれ意味しているのかもしれない。


※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

タグ:

予兆詩
最終更新:2009年12月08日 23:10